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地方リポート

 

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■石川県の観光振興方策について―全温泉地の魅力創出■

 

本県では、恵まれた観光資源を最大限に活用し、訪れる人々が、石川ならではの良さや味わいを実感できるよう、多様で充実した楽しみ方のできる魅力ある観光地づくりを進めるとともに、ふるさと再発見などにより、石川らしさ、地域らしさが発揮された誇りのもてる県土づくりを進めながら、石川県の主体性を確立していくことが何よりも大切であるという認識から、平成7年に21世紀に向けての本県観光の発展方向と、その実現のための指針を明らかにするため、観光推進プラン「ほっと石川観光プラン」を策定したところであります。そして、行政組織も観光推進総室を設置し、関係機関と連携強化のもと、環境との調和に配慮しながら、観光資源の活性化、多様な観光拠点づくり、観光石川の情報発信、心温まる観光県づくりについて、積極的に取り組んでおります。

【温泉地の魅力創出】

北陸の温泉地は、長引く景気低迷や旅行ニーズの変化(団体・宴会型から個人・小グループ化への移行等)に必ずしも的確に対応できなかったことなどにより、温泉地の入り込み客数は、大幅に減少しております。

本県主要6温泉地も例外ではなく、平成3年をピークに年々減少しており、これを打開するため各種施策を実施しているものの、なかなか宿泊客の減少に歯止めがかからず、本県の観光地への影響が懸念されております。

そこで、温泉地が再び活気を取り戻すには、個々の旅館の魅力を高めるだけでなく、今日の旅行ニーズを踏まえ、浴客が街並みに出て、温泉情緒に浸り、地元の人々と交流することができるような街づくりが必要であります。

こうした観点に立って、平成11年9月補正予算で新たに、個々の温泉地が進むべき方向について、地域住民が一体となって話し合う場をつくることに支援することとしております。

つまり、個々の温泉地の何が愛され、何が足りないのか、その現状の評価を正確に把握することが、次なる挑戦への第一段階であると考えたものであります。

また、これと併行して、個々の温泉旅館、旅館グループ、地域等が自発的に創意工夫を凝らして実施するソフト事業に対して支援することとしており、前述の温泉地の今後の方向性を見いだすための試験的取り組みとしても活用することとしております。

 

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和倉温泉

 

地域別に見ると、加賀温泉郷(山中、山代、片山津、栗津温泉)では、宿泊客の落ち込みも見られるが、今こそ地域を挙げての取り組みが必要であるとして、平成10年に加賀温泉郷活性化推進協議会を設置し、共同で情報発信や誘客事業等に取り組むための戦略を策定し、今後事業化を推進していくこととしております。

また、各温泉地では、山中温泉は町の基幹産業である山中漆器、なかでも伝統工芸の「木地ろくろ挽き」の技術や伝統芸能「山中節」を街づくりに活かすとともに、温泉街の賑わいづくりと空き店舗対策に取り組んでおります。

山代温泉でも、新しいイベントとして平安〜室町時代に流行した田楽と現代・西洋感覚を融合させた楽劇「芸能曼陀羅」に取り組んでおります。

片山津では、平成13年開催が予定されている「全国都市緑化フェア」の拠点協賛会場に柴山潟湖畔公園が決定したことに伴い旅館の女将さんが中心に「花の街」を目指した取り組みなどを行っております。

 

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山中漆器

 

 

 

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