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強力な官民一体の広域観光へ

 

石川県商工労働部長

山岸勇

 

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■北陸WAC21開催に向けて■

 

北陸における広域観光振興については、運輸省が定めた「90年代観光振興行動計画」を受け、平成2年10月に観光立県推進地方会議を開催し、この成果を受け、北陸三県で、「TAP90'S北陸フォローアップ推進協議会」を組織し、各種施策を講じてきております。

このTAPでは、主として行政レベルの広域連携施策を進めてきましたが、今後は、官民が一体となって一層強力に展開していく必要があり、そのきっかけづくりとして、北陸WAC21を開催するものであります。北陸WAC21は、石川中央会場と富山、石川、福井の各県サテライト会場の4会場でそれぞれがテーマを定め、開催する予定で、昨年の東北地方に次いで第2回目の開催となります。

各県サテライト会場でのテーマは、富山県が北陸の弱点である「冬の観光振興」を、石川県は北陸の主要観光地である「温泉地の魅力創出」を、福井県は「広域共同情報発信」ということで、今後の北陸地域の観光振興、さらには観光誘客方策等について十分議論をいただくとともに、全国へ北陸の観光魅力をPRしたいと考えております。

 

■石川県の観光動向-ロシアタンカー重油流出災害からの復活をかけて■

 

平成9年年明け早々の1月7日、ロシア船籍タンカー「ナホトカ」号から福井県三国沖に流出重油が漂着、翌8日には本県加賀市にも重油が漂着、冬の日本海の波浪厳しい天候の中、いつ果てるともしれない闘いの始まりでした。

 

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兼六園

 

このタンカー事故は、わが国がかつて経験したことのない大規模かつ広域的な油流出災害となり、現在の組織体制や技術面での限界もあり、結果として、かけがえのない自然が汚されてしまうこととなり、漁業関係者や観光業者等を中心として広く県民に与えた影響は大変大きなものがありました。

また、重油の浮流により、魚介類への影響が懸念され、消費者の買い控えや観光地での需要の減少といった、いわゆる「風評被害」が深刻な問題となりました。

特に、風評被害や旅行・レジャーの自粛ムードなどにより、県内観光地の入り込み状況は、軒並み減少し、他の要因はあったにせよ平成9年は過去10年間で最悪の事態となってしまいました。

平成10年の観光入り込み状況は、平成9年に対し、0.6%増加しましたが、風評被害等の一部回復はみられたものの温泉地をはじめ厳しい状況が続いております。

 

 

 

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