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インタビュー

北陸の活牲化と国際化促進へ熱い議論を

 

石月昭二・(社)日本観光協会会長

 

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WAC21の議長として、まず、TAP90'sを振り返りながらお話しをお聞かせ下さい

石月 TAP90'sは、昭和63年4月に運輸省が策定しました。その背景としては、道路や空港など交通手段の発達による旅行の広域化、交流人口拡大による多様な地域産業の振興施策の展開が必要なこと、地方においても国際化の進展に対処することが必要なこと、また、観光が国民の余暇・レジャー生活の中で大きな地位を占めるにいたり、ゆとりある豊かな国民生活が求められていることがありました。つまり、観光を通じて地域の活性化、国際化を目指し、ゆとりある国民生活の実現を図ろうというのがTAP90'sのねらいです。

瀬島前議長がいつもお話しされたことですが、観光というものは、中央でいくら机上の議論を重ねても大きな意味がない。やはり現場に行き、そこで見て、肌で感じ、その体験にもとづき討論することが大切です。いわゆる現場主義を尊重したことにTAP90'sの大きな意義があります。もう一つ、観光の振興は官も民も、中央も地方も一体となって連携して総合的、かつ、強力に押し進める必要があります。そういうコンセプトで、これまで観光立県運動を展開してきました。昭和63年から平成10年度までの10年間で、観光推進中央会議17回、地方会議14回開催され、開催都道府県は29に達しました。

 

その結果、どういう成果をあげましたか

石月 まず、地域連携による広域的な取り組みが促進され、観光の地域振興に果たす役割に対する意識が改革されました。また、関係者間のコミュニケーションが大幅に改善され、観光振興へのノウハウも飛躍的に蓄積された、と関係者から高い評価を受けています。その一方で、21世紀に向けた新しい課題として、1]国際競争力のある観光地づくり、2]多様なニーズに応える新しい観光魅力の創出、3]大交流時代を迎えての外客受け入れ体制整備、4]「環境」「バリアフリー」等の新しい課題への対応、5]「住んで良し、訪ねて良しの観光地づくり」、6]観光関連の情報システムの充実、7]観光客のより一層円滑な移動手段確保といったことが、10年間の総括のなかで指摘されました。

 

そこで、WAC21が打ち出されたのですね

石月 平成10年2月に神戸で開催したTAP90'sの第14回地方会議「全国大会」で、今後の展開方針について討議した結果、今後は、「広域連携観光振興会議」(WAC21)を地方ブロック単位で開催することを決定したのです。まさに新しい時代に相応しいものだと思います。

 

その第1回会議が昨年11月東北で開かれましたが…

石月 初のWAC21は東北6県が主体となって、山形、青森、岩手のサテライト会場で分科会を開き、宮城県仙台で中央会議を開きました。分科会はそれぞれ、ホスピタリティのあり方、外国人の観光客の来訪促進、地域伝統芸能の有効活用をテーマに議論し、中央会場で各サテライトからの報告を踏まえて会議全体を総括しました。WAC21は、より広い地域を対象にイベント連携・実体験重視型ということで行われ、初めての試みも幾つか実施されました。21世紀の新しい観光ニーズに対応できるよう、これからその成果を地域で大いに生かしていただきたいと思います。

 

北陸WACについては何を期待しますか

石月 11月18・19日の2日間にわたり開催されますが、石川、富山、福井の各サテライト会場では、それぞれ温泉地の魅力創出、冬の北陸観光振興、広域共同情報発信をテーマに分科会が行われ、そのあと石川中央会場において「北陸再発見―広域連携による新たな観光戦略」をテーマに全体会議が開かれます。今や観光が地域の活性化、国際化の切り札の1つとしてますます注目されておりますが、是非とも官民の関係者に忌憚のない意見を交わしていただき、北陸の新たな観光振興の起爆剤となるよう期待しております。

 

北陸の印象はいかがですか

石月 山岳、海岸、温泉、伝統文化など多様で豊富な観光資源をもつエリアだと思います。また、従来より共同キャンペーンなど、広域的な取り組みもされてきている地域だと認識しています。これからは温泉地の将来像、冬などのオフ期対策等の課題にも取り組んでいく必要があり、WAC21としても貢献できれば幸いです。

 

 

 

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