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これは、中国・四国の運輸省のキャンペーンとも合間って、やらせ頂きました。大変効果があったと思っています。景色があったり、海があったり、食べ物があったりするのは良いのですが、それを組み合わせて、その中で、これが一体何なんだという、『この』部分を非常に明確に打ち出すという、そういう構成をしたわけです。これは、効果があります。是非とも、真似をして頂きたいと思います。構成力が弱いということはどういうことかというと、色んなものがあるのだけども、それぞれがばらばらで、存在しているというふうな状態を、弱いと私は言ってるんです。そういう状態だと、吸引力、誘引力、お客さんに『これを』という、『この』という中身をいう場合に、非常に力が弱いということがいえます。そのことが、点のイベントから、面のイベントへという意味なんです。点のイベントというのは、先ほどの分類でいうと、歌手のコンサートがあったり、演芸会があったり、これは点のイベントです。スポーツ大会も、どこかの競技場でやってる限りは、点のイベントです。だから、そこには、その時間帯で、たくさんの方がお入り頂けると思うんですが、終わるとなくなってしまう。

来年も同じような効果があるのか、イベントをやる時に、一過性のものは止めて、永続的にいつまでも残るものをやってください、というご要望を承ります。けれども、その割には、歌手を東京から呼んできて唄わせるというようなイベントが多すぎるのです。一過性でないものというのは、そこに行かないとわからなくて、そこに行くと味わえるもので、いつ行ってもそこにあるもの、というと、やはり、自然だとか、食べ物だとか、そこの風物だとか、風情だとかといったものに、由来をしてそれがうまく加工されて、イベント化していると言ったものが、非常に良いわけです。昔から続いている伝統的な行事、例えば、東北の3大祭りもそうです。東北だけじゃありません。九州も、関東圏も皆そうですが、お祭りの良さというのは、そういった古来と言いますか、昔からあるこういう地域に根差しながら、それを表現していくのに、大変すばらしいパワーを持っているという点では、非常に優れています。ですから、集客力があるのです。集客力があると同時に、それは、地域の観光資源として、誰もが、うなずけるという形になっているんだと思っています。

では、新しいものを作っていけばいいじゃないかといえば、そのとおりです。新しいものを作るといっても、大変難しいことでもあるんです。これを取ってつけたようなところからイベント構成をするんではなくて、むしろ、忘れられてしまったようなこととか、ちょっと埋もれていってるものであるとか、見方を変えると、これは大変パワーがあるじゃないかというようなことを、丹念に掘り起こしていくという作業が、どうしても必要です。それを一つの点として育成していくということになると思うんです。これは景色でも、食べ物でも、先ほど来申し上げてる、『この』という意味です。食べ物でも、あるいは、そこにある冒険でも、色んな要素があると思います。もう一つ重要なことは、その点だけを取り上げて、こうですよ、ああですよ、と言うのは、いかにも効率が悪い。点というのは、やはり、支えがありません。ところが、色んな県にお邪魔をいたしましても、県の中の何々市、何々町、何々村、といった所が、それぞれ観光のキャンペーンを張っておられますから、その町の地図があって、ここにはこんな洞窟がある、海水浴場がある、花はこうだとか、色んなことが書いてあるんですが、お隣の町のことをは、全く書いていないケースが多いと思います。

 

 

 

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