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では、観光イベントの内容はどういうことなのかと言いいますと、まず、旅行、観光に行こうとする人は、自分でお金を払って行くわけで、切符を買わなければいけないですし、場合によっては、日帰りだったらお弁当を作らなければいけない、子供の手を引っ張って行かなきゃならない。わざわざそれで、時間を取って、休暇を取らなきゃいけないという、色んなことがあります。旅館を予約しなければいけない。ということは、旅行そのものが、その人たちにとってのイベントなんです。観光に行く、花見に行くっていうことだけでも、イベントなんです。行くということがイベントなんです。ということは、観光とか、旅行という商品は、参加するということ自体がイベントとして成立されている。だから、参加者は、イベントに参加をしていく気分があるんです。それは間違いないです。だから来てもらいたい方は、そのイベント的精神を受け止めてあげなきゃいけないわけです。本来、観光はイベントであるというのは、ちょっと複雑な意味を持っております。参加するという意味のイベントもあるし、受け止めるというのも、イベント性で受け止めるんだと。だから、『ここにはこんなに良いものがありますよ、わざわざ来て見る価値がありますよ。』ということをいうこと自体が、もはや観光イベントなんだという捉え方なんです。

では、どんな特色を観光イベントは持っているのか、興行イベントや、他の文化・スポーツイベントと違うのかというと、先ほど言いましたように、属地的にその場所を、空間を非常に意識します。だから、必ず「この」という指示代名詞がつきまして、「この祭りを見てください」となります。だから、一般名詞としての祭りがあって、この村にもこの町にも祭りがあって、『まあ、来てくれたら楽しいですよ。』では、駄目なんです。『この祭りを見てください。』場合によっては、『この夕陽を見てください。』『この夕陽。』というのは、この峠から向こうを見つめたら海があって、ここに落ちていく夕陽がいいでしょうという、固有名詞的な夕陽なんです。だから、『この夕陽を見てください。』あるいは、波が寄せてる、『この波を見てください。』という、『この』がつく1つの商品作りというか、イベント作りを見に行くんです。その夕陽を見に行くんです、その朝日を見に行くんです。買い物があったとしても、それは、銀座や新宿でショッピングするのとは違うショッピングですから、そこのショッピングに行く。だから必ず、かなり強引でいいんですけれども、指示代名詞である『この』とか『その』という言葉がそこについてくると、観光イベントになる。それを楽しむ、というのがイベントなんです。

 

 

 

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