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だから、スポーツイベントというのは、別の目的を持ってるということを忘れないで頂きたいと思うんです。お客さんを集める為にスポーツイベントで、よし、やってみよう、というのは、2002年のサッカーのワールドカップ、これは、それなりの集客効果があると思いますが、非常に特殊な例でして、ここまでの規模のことをやってしまうには、巨額のお金がかかってしまうということが言えると思うんです。

まだレジメに入らないうちに、イベントの分類について少しお話をしたんですが、イベントという言葉の中には、さまざまな中身のものがありまして、何でもいいから観光と結び付ければ、そこで人がやって来るだろうというのは、やって来るんですけれども、その為にはやってこないことも多いんです。別に観光イベントというジャンルを、設定すべきであるというふうに私は思っております。イベント屋さんの方からは、こんな提案はほとんどありません。今日はマーケティングのお話がたくさんでて参りましたが、観光はやはり、集客をいかに効率的に計るか、その地域をいかに売り出すかという点で捉えると、マーケティングだと思います。私も本業はマーケティングですから、どうしてもそういうものの考え方をしてしまうんですが、イベントで、光がどう当たるとか、音がどう出てくるだとか、歌手が誰が出てくるだか、誰がそこで話をしてくれるか、ということイコール、決して観光ではないんです。

では観光をイベント化していく、イベントによって観光に効果をもたらせられるというのはどういったことかと言うと、観光ですから、どこか場所があるわけです。あるいは、何か見て頂くもの、あるいは聞いて頂くものがあるわけです。そこへわざわざ出かけて行って、それを見ようとする、あるいは聞こうとする。あるいは、そこへ行って、自分の気分を休めようとする。先ほど来、なぜ観光に行くのか、旅行に行くのかということが紹介されておりましたが、何らかの形で、人間の心を引き付けるものがそこにあるから、そこに行くわけです。そうすると、人間を引き付けるものを、そこで作ればいい、はっきりさせればいいわけです。はっきりさせる時に、取ってつけたようなものではっきりさせるのではなくて、本来そこにあるもの、例えば、何々県だといたしますと、その何々県に、本来そこにあるもので、できれば他に無いもの。海の幸というのがあるじゃないかとか、生の自然も、どこにでもあるじゃないかというお話も出ておりましたけれども、できればそこにしか無いものを取り上げて、磨きをかけるというか、もっと目立つようにするというか、そこに何かを加えて、私の今日のテーマに沿った言葉で言いますと、イベント化をして、つまり、観光イベントとして、提示をする。提示をするということは、プロモーションにかける。それを知らしめる、こういうことなんです。

 

 

 

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