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同じように、観光イベントというのがあります。人集めだからイベントをやってみようというのは、そこまでは良いのですけれども、イベントということになると、「よしわかった。では、歌手を呼んでこよう。」というのは、確かに、歌手のファンの皆さんがたくさん来て、それこそ、若いポップス系の歌手を呼んできたら、2000人、3000人ぐらいは簡単なことです。これは、どんな田舎に行ってもそうです。山奥へ行ってもそうです。簡単なことですから、遠路はるばる集まってきて、ゴミをいっぱい置いて帰って、その日一日でパーっと桜が散るような形のイベントというのはできます。けれども、これは興行ということと、それから、本来持ってる観光で追求しようということとが、どこかでイベントという言葉だけで重なり合ってるだけで、本来別々のものをごちゃ混ぜにしているということなんです。確かにタレントを呼んでくると、手っ取り早くイベントが成立して、人もやって来ますから、「ほら、成功したじゃないか。これだけ集まったじゃないか。」ということで、主催者にしてみれば、非常にイージーな手法であるのは間違いないです。しかし、それが一体何なんだと言われた時に、答えようがないような結果に終わってしまうのが、常なんです。

もう1つ、これは悪口でも何でもないのですけれども、文化・スポーツ系のイベントもそうです。例えば、シンポジウムをやります。動員をかけないでシンポジウムを200名以上集めるというのは、至難の技です。東京でもそうです。これが地方の都市でしたら、200名以上の会場で、例えば、600名とか1000名入るような会場でシンポジウムやりますと、これは、止めた方がいいです。いっぱいにするのは至難の技です。だから、動員です。悪い言い方ですけど、近辺の自治体の、その時間帯のそこの職員の皆さんは、皆さんお呼びがかかりますから、手薄になってしまう、皆そこに集まってるといったような、おかしな現象すら生まれてるんです。でも、何となくやるんです。ただ、シンポジウムは、皆で一緒に考えようというイベントです。文化イベントです。集客を目的にしたイベントじゃありません。一生懸命考えればいいわけです。集客を目的にしたイベントでないにも関わらず、それで集客しようとするから、そこにちょっとした誤差が生じるんですが。スポーツイベントも、その類の中の1つです。確かに、たくさんの人を集客することができるスポーツイベントもあります。例えば、プロ野球がそうですし、お正月のサッカー、東京で国立競技場でやるようなサッカーや、ラグビーもそうです。いっぱいになります。でも現実にはその他のイベント、例えば、どこそこでやられる、小学生や、あるいは、中学生といったような地方のイベント、これは、国がやっておられるようなレベルでの、総合的なスポーツイベントでも、スタンドを見ましたらガラガラです。甲子園球場はたくさんの人が入っているように見えます。5万人から6万人入るんですが、夏の高校野球で3万人以上入るなんていうのは、ほんの数ゲームです。数ゲームと言うと失礼かな、10ゲーム位はあるかも知れません。60ゲーム以上あるわけですから、いつもいっぱいになってるわけじゃないんです。

 

 

 

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