(2) 価格設定 Price
ターゲット・マーケットのニーズに沿って戦略的商品を企画する場合、値段に敏感ではないマーケットを除いて(このケースは希ではあるが)、価格について考慮する必要があります。地方公共団体は、入手したマーケット情報に基づき、商品のパーツとなるホテルや食事について値頃感のある価格帯等を、地元の関連施設に周知することが肝心です。例えば、ハウステンボスの敷地内にあるホテルや、日本一の温泉旅館と言われる和倉温泉の加賀屋のように付加価値のある宿泊施設以外は、アジアからのパッケージツアーでは1泊朝食付きで5,000〜7,000円位が相場です。これ以上の高い宿泊料金をもとに造成したツアー商品は、よほど特色のあるものでない限り、現在マーケットに出回っている商品に勝つことはできません。
年間5千人前後の台湾人が参加する加賀屋ツアー
(3) 流通経路 Place of Sale [Distribution]
マーケットにより旅行商品の造成、卸し、販売等の流通経路が異なっているため、どの部分に関わる企業に対してどのようなアプローチをすれば、商品開発や販売を促進することができるか、検討しなければなりません。欧米マーケットでは、日本の大手エージェントの支店や現地法人は日本へのパッケージツアーをほとんど扱っていないため、現地の人が経営する旅行エージェントに働きかける必要があります。アジアのマーケットでは、航空会社がエージェントより優位な立場にある場合が多く、航空会社の協力を得ながら、商品の企画や販売促進を進めると効果が上がる可能性が高くなります。
(4) プロモーション Promotion [Promotion Mix]
戦略的商品の内容、商品の価格帯、アプローチすべき流通チャンネルが決まったら、ターゲット・マーケットに対し広報宣伝活動や販売促進活動を行うのがプロモーションで、コンシューマーの旅行意欲を刺激し、旅行商品の購入へと導く重要な役割を持っています。プロモーションは日本の広告業界では「コミュニケーション」とも言われますが、以下のようにプロモーション・ミックスと呼ばれる分野に分かれており、相乗効果を上げ最大の効果を生み出すように各事業を組み合わせます。
・広告掲載活動(AD)
・販売促進活動(SP)
エージェント訪問、商談会への参加、国際旅行見本市への出展、
宣伝ミッションの派遣、商品説明会の開催、宣伝ツールの制作・頒布等
・広報宣伝活動(PR)
報道資料の作成・頒布、マスコミへの記事掲載、記者発表会の開催、
デスティネーション・企業・旅行商品等のイメージの維持と向上等