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2]デスティネーション自身の分析 Resource Analysis(「己を知る」)

(1) SWOT分析

SWOT分析は、日々刻々と変化する旅行市場の中で、マーケットに対するデスティネーション自身の位置づけをするのに非常に有用な分析方法です。例えば、デスティネーション「日本」の台湾マーケットにおける現況を分析すると以下のようになります。

 

台湾マーケットにおけるデスティネーション「日本」のSWOT分析

 

Strengths(長所)

・地理的に非常に近く、短期間の旅程が組める。

・人々の日本に対する関心が高く、希望するデスティネーションとして常に上位にある。

・テーマパーク、自然美など観光資源が豊富である。

・ファッション、ハイテク、電化製品、音楽等の流行が、特に台湾の若者を惹きつけて止まない。

 

Weaknesses(短所)

・他のデスティネーションと比較し、旅行費用が割高である。

・台湾ドルに対し円高基調で推移している。

・日台間定期航空路線の乗り入れ空港が限定されている。

 

Opportunities(チャンス)

・1998年に日台間の定期航空路線の便数やチャーター便が大幅に増え(年間400便から740便)、地方空港の乗り入れが活発になっている。

・隔週週休2日制が急速に普及しつつあり、近距離にある日本への旅がしやすくなっている。

 

Threats(脅成)-現在起きていること又は可能性として将来起こりうること

・台湾ドルに対してさらに円高になり、価格面での競争力が弱くなる。

・尖閣諸島の領有問題等、台湾のナショナリズムを刺激する事件により、一時的に対日感情が悪くなる。

・日台間の航空路線(チャーター便も含む)のキャパシティーが、現在の水準以上に拡大できなくなる。

 

(2) 観光魅力の評価

ここまでの「現状の分析」によって明らかになったニーズに基づき、外国人旅行者が強く魅力を感じるような優れた観光資源・施設があるかどうかを点検し、それらをリストアップします。

例えば、地元に日本人客が年間数百万人訪れるヨーロッパ風のテーマパークがあっても欧米人はほとんど関心を示さない一方、日常生活でよく見かける日本的な風情のある街並みや風俗習慣が彼らの心を捉えることがよくあります。日本各地が誇りとする温泉は、今でこそ台湾人客に大分受け入れられるようになりましたが、まだ香港人客には抵抗があるようです。

 

 

 

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