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3. 「マーケティング戦略」策定の方法

 

マーケティング戦略とは、誘客人数、売上げ額、知名度の向上等、地方公共団体や民間企業の設定した目標を達成するための方針です。具体的には、観光目玉の絞り込み、ターゲット・マーケットの絞り込み、デスティネーションの範囲の設定、デスティネーションあるいは旅行商品として他の競合するものとの差別化(プロダクト・ポジショニング)、「マーケティング・ミックス」の決定です。マーケティング戦略は、マーケットやデスティネーション自身の分析を基に策定されます。

 

1) 現状の分析 Situation Analysis

 

マーケティングの基本はコンシューマーのニーズをまず知ることです。当然、日本人と外国人とは旅行に対して期待することが異なるので、マーケット調査が必要になります。さらに、明らかになったニーズの視点から、地元の観光資源・施設の魅力等を評価します。こうして初めてマーケットのニーズを地元の観光魅力とのマッチングヘと導くことが可能となり、訴求力の強い観光魅力を重点的にPRできます。

 

1]外部環境の分析 Environmental Analysis(「相手を知る」)

(1) 政治・経済・社会情勢の分析 Macro-environment Analysis

政情や外国旅行に関する政策、景気の動向、可処分所得の向上、余暇時間の増大等、マーケットの政治・経済・社会の状況が外国旅行の動向に様々な影響を及ぼします。したがって、このようなマーケットをめぐる大きな潮流を把握することが重要です。

 

(2) 外国旅行マーケットの分析 Market Environment Analysis

出国者数の推移とその年齢別構成比、渡航目的国・地域のランキング、訪日旅行マーケットの伸び率・シェアの推移、日本との航空路線の便数の増減、訪日旅行取扱い旅行エージェントの動きや取扱いツアー商品の内容・流通チャンネル等、マーケットの状況を調べます。

 

(3) 競合デスティネーションの分析 Competitor Analysis

外国旅行が勢いよく発展している段階であれば、シェアの奪い合いはあまり起こりませんが、成熟段階に向かうに従い、他のデスティネーション(他国であり、他県である)とのシェアの奪い合いが激しくなってきます。したがって、ライバルとなるデスティネーションがどのようなイメージで観光魅力をPRし、どのような価格帯で、どのような旅行商品を売っているかを調査し、それらと差別化を図る必要があります(後述)。

前述したように、数多くの地方自治体が台湾マーケットを対象として誘客活動に力を入れると、地方公共団体や企業相互の競争が生まれ、例えば同じ温泉や紅葉の景勝地でもそれぞれの特色を明確に区別させて宣伝を行わなければ、旅行費用の安い方に旅行者は流れるという結果になってしまいます。その意味でライバルを研究することが、ますます重要になってきます。

米国マーケットにおける日本のライバルは中国と考えられ、台湾マーケットにおけるそれは米国やカナダです。ライバル同志のデスティネーションは、やはり類似した観光魅力、同程度の旅行商品の価格帯を持っています。

 

 

 

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