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(3) 流通チャネル

北海道側セラーは、商品としての北海道を紹介する経路として、台湾側バイヤーである航空会社及び旅行会社とともに消費者の3つの主要なチャネル全てを使った。

マーケティング開始当初は、日本観光協会台湾事務所は、EGの協力を得て、前述のようにデスティネーションの潜在力に理解のある旅行会社5社を意図的に選定し北海道を紹介した。「北海道旅行ブーム」開始の時期は、道観連ミッションをはじめとして、持に意図した流通チャネルを選定せずに、なるべく多くの航空会社や旅行会社関係者に北海道を売り込む努力をした。その後、1997年10月から一挙に北海道ツアーに参入してきた。

また、4年間継続して、プレストリップ、観光セミナー等を通したマスコミへの働きかけを行い、消費者に対する北海道の紹介を行った。

 

(4) プロモーション

マーケティング立ち上げ当初から1999年まで長期にわたって間断なく、北海道側と台湾側の様々な観光組織がプロモーションを継続した。一般紙、旅行雑誌、旅行業界誌、テレビ(地上波、ケーブル)等の様々なメディアで、数多くの北海道に関する記事が掲載され、また広告も掲載された。特に、EGは1996年から98年まで一貫して「花のシリーズ」キャンペーンを実施したことが注目される。

また、道観連は、1998年10月のミッション派遣から商取引重視の販売促進に切り替え、台湾の旅行会社との取引成立に貢献した。

 

結論

 

今までの北海道のデスティネーション・マーケティングの分析により、以下のような結論が導くことができる。

 

◆マーケティング戦略の一貫性とリーダーシップの存在

北海道のデスティネーション・マーケティングでは、どの観光組織も、マーケティングの立ち上げの当初から、北海道と台湾の双方の観光組織を統合した戦略の策定や実践を行なってこなかった。しかし、NTOとしての日本観光協会台湾事務所は、道観連との密接な協力のもと、特に北海道のツアー造成や広報宣伝においてイニシアチブを発揮した。日本アジア航空は国内線乗り継ぎを含む特別割引運賃の導入、エバー航空及び中華航空はチャーター便運航により、アクセスの向上とツアー価格の低減をもたらした。また、日本アジア航空は、4年間一貫したキャンペーンによる北海道のイメージの浸透にも貢献した。結果的に、これらの観光組織は、それぞれの立場においてリーダーシップを発揮しながら、一貫して北海道の四季の大自然の魅力を中心としたマーケティングを実施したのである。

 

◆観光組織の相互協力とコーディネーターの存在

北海道のマーケティングには、北海道側と台湾側の多種多様な観光組織が相互に協力した。日本観光協会台湾事務所は、北海道側セラーへはマーケット情報を提供するとともに、訴えるべき観光魅力を助言し、台湾側バイヤーには、これらの観光魅力を紹介し、デスティネーションとマーケットの情報面での仲介を行った。

 

 

 

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