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3. 主要観光魅力の選定

 

1995年の立ち上げの時期は、日本観光協会台湾事務所単独で、冬以外の道東の大自然やグルメを主要観光魅力に決定した。1998年と1999年は日本観光協会台湾事務所と道場連がマーケットとデスティネーションの双方のニーズを研究し、共同で冬の祭りと春に咲く花を宣伝した。しかし、1997年9月から道観連は大自然の体験をテーマにしたマーケティングを独自に開始した。このように、主要観光魅力は、マーケティングの主体や年によって異なり、一貫していなかったが、全て自然に関連したものであった。

 

4. デステイネーションのイメージ策定

 

EGの「花のシリーズ」キャンペーンは、3年にわたり一貫して花をイメージしたものであった。一方、日本観光協会台湾事務所や道観連が打ち出したのは、「ヨーロッパ風リゾート」、「大自然の体験」、「冬」、「春」であった。これらの観光組織は、1998年10月〜1999年3月に冬をテーマとした以外は、全て冬以外の自然をイメージするものであった。また、EGは3年間通してラベンダーのイメージを使い続けた。日本観光協会台湾事務所によると、ラベンダーは、今や北海道のイメージとして台湾マーケットに定着している。

 

5. マーケティング・ミックス

 

北海道のデスティネーション・マーケティングにおけるミックスは、結果的に北海道側セラーと台湾側バイヤーとの間で、それぞれの立場で発揮した機能が非常に補完的に働いたといえる(表6)。

 

(1) 商品

特に日本観光協会台湾事務所と道観連がマーケットのニーズとデスティネーションを研究の上、台湾の旅行社に紹介した主要観光魅力及び各地の観光魅力は、当初、EGの協力のもと、新商品開発に積極的な数少ない旅行会社により商品化され、販売実績が上がるにつれ、数多くの旅行社が追随して参入し、商品化が広く行われた。

マーケティング立ち上げ時期の1995年8月に実施された旅行会社による視察事業の対象となった素材は、翌月9月からのツアー商品に取り入れられ、また、1999年4月現在、販売されている主要パッケージツアー商品にも含まれている(表7)。また、1998年10月からの「札幌以外の雪・氷まつり」のプロモーションにより、翌年からこれらの開催地へのツアー商品が登場した。

 

(2) 価格

マーケティング立ち上げ期の1995年には、EGが国内線乗り継ぎの特別団体航空運賃を提供することにより、旅行会社の新たな北海道ツアーの商品造成・販売を支援した。1996年10月には、北海道の宿泊施設が料金を下げたことも「北海道旅行ブーム」の到来に貢献した。さらに、1998年1月からの多くの直行チャーター便ツアーの催行は、ツアー日数の短縮とともに、ツアー料金価格を抑えることを可能にした。

 

 

 

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