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また、同所は、旅行会社の視察事業、道観連のミッション派遣事業等の活動面でもコーディネートした。デスティネーションとマーケットの双方に精通した日本観光協会台湾事務所の機能が発揮された。

 

◆マーケティング戦略の実施における柔軟性

北海道のデスティネーション・マーケティングでは、北海道内のホテル間の集客競争等による部屋料金の引き下げ、日台航空協定によるチャーター便枠の拡大よる直行チャーター便の北海道乗り入れ、台湾ドルに対する円安傾向等、外部環境に影響されるところが多かった。

また、道観連が以前のテーマと異なる「大自然の体験」のキャンペーンを開始したり、日本アジア航空が「花」から「冬のシリーズ」にキャンペーンを切り替えたり、観光組織がそれぞれマーケティング戦略を変えることがあった。日本観光協会台湾事務所と道観連も、「冬以外」から「冬の北海道」をテーマとし、新しいツアーの商品化に成功した。このようにデスティネーション・マーケティングは、外部環境や他の観光組織の戦略に影響を受けやすいので、需要の喚起に繋がるように柔軟に対応することも必要となる。

 

<謝辞>

本研究にあたっては、北海学園北見大学の東徹助教授、北海道観光連盟の工藤一専務理事、北海道庁経済部観光振興課の近藤崇主査、日本観光協会台湾事務所の上村仁所長、国際観光振興会の澤田利彦部長並びに鄭然凡職員をはじめ、日本と台湾の多くの方にご指導や情報のご提供をいただいた。この場をお借りして厚くお礼を申し上げたい。

 

<脚注>

注1長谷(1996)、P.7

注2長谷、前掲、P.6

筆者(1993)は、台湾マーケットにおける誘客競争の激化の状況を踏まえ、地方公共団体によるマーケティング戦略策定と実践の必要性を提案した。

注3デスティネーション・マーケティングは、「観光地マーケティング」や「地域マーケティング」と称することもある。デスティネーションの範囲は、市町村、都道府県、国、あるいはそれより広い、例えばアジア太平洋地域であったりする。また、観光組織の誘客対象とする地域の範囲よって異なり、必ずしも行政区域でない場合もある。

注4長谷、前掲、P.16

注5長谷、前掲、P.17

注6主要観光魅力の選定やデスティネーションのイメージ策定は、マーケティング・ミックスの内の商品に含まれると考えられるが、デスティネーション・マーケティングでは、この作業が非常に重要となるため、あえてマーケティング戦略の要素として取り上げた。筆者(1993)は、台湾マーケットにおけるデスティネーション・マーケティング戦略の策定について考察し、これらの要素の重要性を提示している。

注7山上(1997)、P.40

注8山上、前掲、P.52

 

 

 

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