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台湾の旅行会社は、集客に成功する保証がなくリスクが伴う新規ツアー商品の開発・販売に対し、非常に消極的であり、他社の新商品が成功するとこれを模倣する傾向が強かった。このため、同所は、従来より新商品の開発に実績のあるEG系列を中心とした旅行社5社を招請することとした。そのうち2社は、他の旅行会社に先駆けて道央を中心としたパッケージツアーの販売を既に開始していたが、さらに新たなルートの開発に強い関心を示した。

視察事業実施の翌月の9月、これらの旅行会社は、視察した観光魅力を組み入れ、紅葉をテーマとした道央・道東方面の新たなツアー商品の販売を開始した。同年9月から12月までの期間、これら5社は、計132本、3,732名のツアー送客の実績を上げた。

 

(4) 旅行会社によるプロモーションの開始

1995年9月から北海道ツアーの販売を開始した前述の旅行会社は、旅行代理店への販売促進を図るため旅行業界誌にツアー商品の広告を掲載したり、また、消費者の需要喚起を図るため日刊紙等にも商品広告を掲載した。

 

(5) EGによる「花のシリーズ」キャンペーンの開始

EGは、特別運賃導入の1年後である1996年4月から6月の期間、ライラック、ラベンダー、さくらんぼを使った「花のシリーズ」というイメージ・キャンペーンで、北海道及び東北地方のプロモーションを開始した。消費者向けには、新聞、旅行雑誌へ広告掲載を実施した。系列の旅行会社向けには、札幌市と共同でイメージ浸透と商品化を促進するレセプションを実施した。

 

2. 「北海道旅行ブーム」の開始 [1996年10月〜1997年9月]

 

北海道への台湾人客は、従来から冬季が最も多いと思われていたが、1996年の秋季(10〜12月)のEGによる北海道への送客数は、約10,500人に達し、同年冬季(1〜3月)の約4,100人を初めて、しかも大幅に上回った。1996年10月は台湾人の「北海道旅行ブーム」が始まった時期といえる。

 

(1) 道観連による本格的なマーケティングの始動

道観連は、日本観光協会台湾事務所の協力のもと、1996年10月にプロモーションを主目的とした初の台湾ミッションを派遣し、主に台北市の旅行会社とマスコミを対象に、北海道の観光魅力を説明するセミナーと懇親を図るレセプションを実施した。旅行会社は、台湾人客の急増している北海道へ強い関心を示し、地方観光団体の事業としては異例の200名を超す台湾側関係者の出席があった。この年より毎年恒例となったこのミッション事業では、日本観光協会台湾事務所が準備・運営における全面的な支援をはじめ、台湾マーケットに合わせた各地の観光魅力の選定等の助言を行った。

ミッション事業のほか、道観連は、日本観光協会台湾事務所と協力し、1996年9月、道央・道東方面に7名、1997年7月に道東方面へ9名の旅行記者からなるプレストリップを実施し、新聞・雑誌に取材記事が掲載された。

 

 

 

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