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先ほど、冒頭に申し上げました旅行需要は、必ずしも右肩上がりになっておりません。ということは、今は、マーケットにあるパイを、それぞれのエリアが、取り合う構造だと思います。ですから、こういう所で、皆で話し合って、商品開発をするというのも、本当は、いかがなものかと思ってまして、本来であれば、出し抜いた人が勝ちというのが、マーケットの今の事情だと思います。競合を意識して、相手を出し抜くといった考え方が必要なのではないかなと思います。競合をどのエリアに設定するのか、もしくは、同エリア内で、隣のエリアをどう見て、どう戦っていくのか、それぞれ、観光素材を出してみて、競合に対して、自分の所は強いのか、弱いのか。強い所をどう活かしていくのか、弱い所をどう強みに変えて行くのかという視点で、お考えになる必要があるのではないかと思ってます。これも各エリアを周らせて頂いて、よく言われることなんですけれども、うちのエリアは、何も売るものがないけど、手付かずの自然だけが自慢なんだ、というお言葉をよく頂きます。ただ、全国を周らせて頂いて、手付かずの自然って、色んな所にあって、なかなか差別化にはなりにくいと思います。日本は山国だと痛感するんですけど、どこにいっても緑の山がダーっとあって、これが手付かずの自然で良いでしょ、と言われるんですが、この時に売り方、プロモーションまで意識していると、表現が変わると思います。あとで本を見られて、「村橋、言ったことと違うよ」と言われてしまうと困るのですが、私なら、手付かずの自然ではなくて、例えば、『蛍に会える』という表現をします。『手付かずの自然』では差別化にならなかったものが、『蛍に会える』と言った瞬間に、他のエリアにはない、もしくは他のエリアが見つけきれてない魅力になっていくのではないかと思います。

4番目ですけれども、先ほどから申し上げているとおり、競合に対して、ターゲットをどうセグメントして戦っていくのか。要は、商品開発というのは、差別化です。ですから、まさに、出し抜く為にどうしたらいいかということを、お考え頂くのが良いのではないかと思っています。その差別化の為に、観光資源をどう見ていくのかというところなんですが、私どもでお手伝いした事例で、青森県の事例がございます。こちらは、本来、観光資源と言いますと、自然環境とか、文化・歴史ですとか、当然宿泊施設とか、観光施設ですとか、そういったものが頭に浮かぶと思うんですけれども、青森県は何を資源としたか、ご存知の方もいらっしゃると思いますけども、過疎という、本来であれば、多少、弱みになってしまうような材料を、うまく活かされて、私どもの本の中で3年間か4年間続けて、過疎の市町村を周るツアーというのを商品にされて売り出したところ、大変ヒットをして、旅行者にたくさん来て頂きましたし、県も活性化したと、そんな事例がございます。

あと有名なところでは、新潟県の安塚町です。豪雪地帯なので、雪を売り物にして売り出した、そういう意味では、普段気がつかないようなものも、観光資源として見ていく必要があると思います。もう1度、0ベースで考えていくと、おもしろいものにぶち当たると思います。

 

 

 

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