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それから、2番目ですけれども、「裏側にある本音に迫る」と書きました。例えば、旅行とは関係ありませんけども、ポルシェを買われる方は、ポルシェの何を買うのでしょうか。私共は「カーセンサー」という雑誌も持ってますが、そんなことを時々考えたりするのですけれども、当然ポルシェに乗られる方は、ポルシェのスピードとか、ポルシェの機能とか、ポルシェのデザインも、手に入れたいのだと思うのですが、実は、ポルシェを持っている雰囲気とか、例えばそれで、女の子とドライブする時の自分を想像したりとか、そういった目に見えない価値みたいなものを買っているんだと思います。で、旅行をする時のそういったものとは何かなあと考える時があります。

9年か10年位前、私どもの媒体で、那須のペンションがやられていた、貸し切り風呂というものを拾い上げて特集したところ、大ヒットになりました。これは、旅行に行く時、特に若い男性、若い女性は、やはり、お近づきになりたいというか、接近したいという欲望を満たす為に、旅行という手段を使っている。そこに観点を置いて、商品をピックアップさせて頂きました。それが現在、貸し切り露天風呂というと、大変メジャーな商品になりましたけれども、そういった観点、例えば、ファミリーで旅行に行かれる方は、どういう、目に見えない価値、裏側にある欲望みたいなものがあるんだろうか。ファミリー旅行というのは、例えば、お父さんの日頃の罪滅ぼしであったとすれば、お父さんに何をあげたらいいんだろうかとか。家族で旅行に行かれる時に、お金を出すお父さんと、決定権のあるお母さんと、それから、親が、最も楽しませたいというか、中心に考える子供さんと、どこに重きを置いて商品を作っていったら良いんだろうかとか。そのへんが、大事な視点かなと思っています。

それから、「トータル価値でのポジション取り」ということなんですが、簡単に言うと、全部ご自分の所で抱える必要はないのではないかということです。私どものグループで、安比でホテルをやっております。以前から、夏の需要の落ち込みを何とかしたいと言ってまして、3、4年前、もう少し前になりますが、東北の夏祭をうまく利用して、安比に泊まって、東北の夏祭を見て歩きましょうという企画を立てました。大体、安比高原からですと、それぞれの祭りへ1時間から1時間半位で行けるエリアに全てありますので、周辺の資源をうまく利用して、うまく集客をされたというような例も、私どもでお手伝いをさせて頂きました。

色々、へ理屈を述べましたけれども、最後に、私どもメディアがどうこう言うよりも、最後に決めるのは消費者、ユーザーでございますので、皆さんのエリアに来られているお客様の声を聞いて頂くということを、最優先に考えて頂くと、最も良い商品ができるのではないかというふうに締めさせて頂いております。

以上で、私の観光資源の活かし方というところでお話を終了させて頂きたいと思います。

 

 

 

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