5. 考察
本試験の実施によって以下の事項が確認された。
5.1 試験規格の爆発引火試験の実施について
ISO8846-1990記載の試験装置及び試験方法に従い、非密封形の装置(電気機器)の爆発引火試験(爆発性ガスからの点火防止の確認試験)は実施可能である事が判明した。試験回数の50回については、IEC型の爆発引火確認試験と比べると試験回数が多いものの、舟艇のバックファイヤーフレームコントロール装置試験(ISO-13592)等とも同等で有り妥当と考えられる。
5.2 試験チャンバーについて
爆発試験においては、10回に1度は、試験チャンバー内の爆発性ガスに着火し、使用した試験ガスが、容易に着火しやすい混合状態であったかどうかを確認する。本規格においては、大気解放型の試験チャンバーを使用する事となっているので、試験時の引火爆発やこの強制着火爆発は、試験チャンバーの大きさにも依るが、非常に危険で、又爆発音も大きく、試験の実施できる場所も制限される事となる。
今回の確認試験においては、試験チャンバーの中に、インナー試験チャンバーを設ける事により、それらの危険性、及び騒音対策の効果を得られた。本件については、国内規格として取り入れる場合には、安全性も考慮し、インナー試験チャンバーの利用(手法)も採用すべきと考えられる。
(規格本文ではなく、試験装置セットアップの為の考察に追加)
5.3 IEC型の試験装置の使用について
本規格の目的である、可燃性ガスからの点火保護確認の為の爆発引火試験は、陸上他の防爆試験規格として広く採用されているIEC型の防爆試験装置(密閉型)においても実施可能と考えられる。異なる点は、密閉型か大気解放型かの違いであるが、試験目的については確認可能である。
国内のIEC型試験装置には、密閉型が採用されている。IEC60079-1の試験チャンバーについては、大気解放型を使用するか、密閉型を使用するかについては明記されていないが、日本国内においては、騒音及び安全面の配慮から、広い敷地を必要とされる大気解放型の試験装置は採用されていない。日本の狭い環境で、安全に試験を実施する為に、密閉型の試験チャンバーを使用しているのが実情である。(余談ではあるが、アメリカの有る試験所では、広い敷地の中央に簡易型の(段ボール等を流用した)試験チャンバーからなる試験装置を置き、その内に供試品を納めて試験するケースも有るという話は、以前聞いた事がある。)
今回の試験に使用した供試品のように、小さな製品の場合は、今回の試験の様にインナー試験チャンバーを使用する試験方法で対応可能と考えられるが、大型の製品を試験する場合は、インナー試験チャンバーを使用できないケース(試験チャンバー本体もしくはそれよりも大型のチャンバーを使用)も想定される。この場合は、毎回試験チャンバー本体に着火する本試験は、大気解放型の試験装置では危険であり推称できない。密閉型の試験装置を本規格に追加する事を提案する。
(規格本文ではなく、試験装置セットアップの為の考察に追加)