上記の結果より、再検討された対策としては、
1) 爆発による周囲への製品及び装置の一部の飛散を避ける為、爆発試験は(可能な限り)室内にて実施し、安全の為の隔壁も準備した。
2) 爆発圧及び爆発ガスを素早く試験チャンバー外に放出できるように、チャンバー上部の天板は「落し蓋タイプ」に設計した。
3) 爆発音を少しでも軽減できる様に、試験チャンバー内外に吸音材を張り、着火時には、爆発試験室のシャッターを閉じる事とした。(但し、試験チャンバーから漏れ出したガスに着火する事故を防ぐ為、全閉にはしない。)
4) 爆発ガスの容積を可能な限り小さくする為、1m四方の試験チャンバーの中に、試験体のサイズに適した大きさのプラスチックバックを使用したインナー試験チャンバーを設け、爆発を1m四方の試験チャンバー内に封じ込める対策を取った。
以上の対策より、試験チャンバーの爆発、及び爆発音の大きさは許容できる範囲にできた。
4.2 試験装置(爆発性ガス吸排気及び着火システム)の評価
試験装置の爆発性ガス吸排気については、船舶艤装品研究所の耐圧防爆試験装置のガス混合装置を使用し、上記の試験チャンバー(対策品)を組み合わせたシステムとした。
又、インナー試験チャンバーを使用する為に、爆発性ガスの供給には吸気システム(バキュームライン)を付加して実施した。供試品内部の爆発確認には、爆発圧力を検知する為の圧力センサー及び透明な短管(ISO8846試験規格の図-3の小形の非密封電気装置用試験装置に記載)の両方を使用した。(実際の試験においては、どちらか一方のみの使用で可)
この予備試験において、以下の結論を得た。
1) 供試品への配管について
試験装置の機器配線及び配管のしやすさ等により、点火プラグ位置を離したり、配管取付け部径を小さくする事は、適当でない。
舟艇用の電気機器(供試品)は全般にサイズが小さい為、試験ガスの導入、着火、受圧センサー取付け等のポートを加工する事が困難な場合が多い。今回の供試品についての穴加工についても、爆発させる位置、受圧センサーの位置等を考慮したうえで加工できる箇所の選択が難しかった。供試品が小さい為に、吸排気ポート用の穴として、PT1/8のネジ部を加工し、アダプター(内径φ5.0mm)を使用して、銅パイプの接続配管(内径φ6.5mm)を介して、インナー試験チャンバーの外部との接続部につないで試験を実施したが、供試品は容易に着火しなかった。その為に、試験が有効となる為の供試品取り付け条件(供試品の配管及び着火ポイント)を決定するまでに、トライ&エラーを繰り返す事となった。特に小さい供試品の着火ポイントについては、規格に示す通り可能な限り製品内に入る様に、又そのようなスペースが確保できない場合においても、可能な限り大きな穴にアダプターを取り付ける事が重要である事を予備試験で再確認した。
2) 透明な短管の有効性について
透明な短管の有効性(透明な短管を使用して、供試品内部の爆発の有無を確認する方法)について確認する事ができた。(クリアーチューブの閃光の様子を写真2に示す。)しかし、規格のサイズ「長さ20mm以下、内径6.5mm以下の供給管を使用」については、閃光が判定しにくく、より大きいサイズの使用を推称したい。