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次に、簡単な心理療法の枠組みを学ぶ。病気についての説明も心理学的な介入であり、説明の仕方で患者の不安を緩和することができる。また、緩和ケアで働くためには、自分の弱さや感情を認め、受け入れていくことが重要で、自分自身のケアの方法を学ぶことも大切である。

 

精神的サポートにおける課題

 

ケアギバーとして認識すべきこととして、モンティニー先生は、自分たちの支援は一時的である、できることは少ないことを知っているということ。先に、共にいることの大切さを述べたが、離れなければいけないことも認識する必要があると指摘された。

また、精神的サポートにおける課題として、希望、罪悪感、期待感について説明された。医療者は、病気が進行した終末期の患者が健全な希望を持っていることを忘れがちである。患者は死ぬことはわかっていても治るという希望を持っていたいと思うものであり、希望を失うことは、生物的に死ぬ前に精神的に死ぬことである。夢が実現するか否かではなく、希望を持つことが大事であり、何かを望むという希望を取り去る権利は誰にもない。

死別後の遺族の罪悪感について、特に、最後をどのように迎えたかが大きな影響を与える。先生は、在宅ケアを受けていた患者が、状態が悪化し、緊急入院をしようとしてエレベーターの中で亡くなってしまった時、家族と共にいて、皆でお祈りをしたり、賛美歌を歌い、抱き合うなど人間的な時間を持つことにより、罪悪感を持たないように工夫した例をあげられた。

期待感について、終末期の患者は、痛みからの解放や安全で安心して過ごせる環境を望むのに対し、家族はコミュニケーションができることや患者が最後に素晴らしいことをいってくれるのを待っている。患者は現実から身を引いて、エネルギーを保存していたいと思うこともあるのに対し、家族は一緒にいろいろしたいと思う。両者の期待に差異があることに気づいていて、それぞれの支援をする必要がある。

 

家族のケア

 

自分の愛する人を失う家族もまた悲しみ、苦しみの中にいる。家族のサポートについてモンティニー先生は、次の3つを上げられた。まず、支援する態度として「優しさ」が大切である。次に、家族は、死についてさまざまな幻想を抱いているので情報の提供、説明が重要である。そして、患者と家族の意思疎通がうまくいくよう助けることである。

 

 

 

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