精神的サポート
心理学者として緩和ケアチームに参与しておられるモンティニー先生は、ご自分の役割について、1]命の終わりの時、その場に立ち会うこと、2]家族に付き添うこと、3]死別後の遺族のケア、4]ケアギバーのサポート、5]自分自身のケアをあげられた。そして、心理学者は霊について話すのではなく、霊的に生きることが大事であると述べられ、精神的サポートについて次のような講義をされた。
患者や家族とのかかわりで必要なことは、親密さ、謙遜、柔軟性、創造性、そして限界があることを知っていることである。死を迎える過程で、患者は、愛する者との離別、やり残した仕事、残していく人のこと、死後の世界のことなど、さまざまな恐れ、不安をもっている。患者とその家族が一つ一つの出来事に挑戦していくその過程をどのように支援できるのか。サポートするということは、その人より先走らず、後にもならない。専門家という自信過剰にならず、提案もしない。その人に付き添う、共にいる。共に歩む。その人の言葉を理解しようとついていくことである。手を引いていくのはその人である。
死が間近にあるとき深い悲しみを体験する。その悲しみを早く取り除いてあげようとせず、聴いてあげることが大事である。患者が気持ちを十分表現できるよう「間」をあげることも大事である。聴いたから何か言わなければということはない。相手の言葉から得られるエコー(響き)を感じ取ることが重要である。
タワーズ先生は、病気に適応していくことに困難を感じている患者をサポートするということを考えると、緩和ケアに携わる医師は、医学だけでなく、心理学についても学ぶ必要があると述べられた。基本的なトレーニングとして、まず心理・精神的な評価のための基本的な知識を習得する。病気に対する正常な適応反応、また、うつや人格障害の診断ができることが重要である。