タバコ病の蔓延
喫煙に関連した疾病が、今日世界で最も犠牲者の多い病いなのです。WHOは、文明諸国の疾病・死亡統計資料により、35-69歳の働き盛り全成人男性の死亡の実に3分の1は、喫煙を原因とする死であると断じています(図1)。
成人男子1,000人のうち、1人が殺人に遭い、6人が交通事故で死亡する間に、250人がタバコで死亡しているのです(図2)。
なぜタバコが悪いのか
タバコの煙の中には3,800種類もの化学物質が含まれ、多数の有害物質や発がん物質が全身各臓器に無差別攻撃をかけます。
最終的に喫煙者は、さまざまながんや虚血性心臓病(狭心症と心筋梗塞)、慢性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)などで倒れ、喫煙の悲劇的代償を払うことになります(図1)。
ニコチン依存症:喫煙者は気の毒な犠牲者
喫煙習慣形成のそもそもの原因は、タバコに含まれるニコチンにあります。
ニコチンは、身体的依存性が麻薬薬物に似て――吸い込まれたニコチンは、麻薬と同じような脳刺激作用を有するので――喫い始めると、知らず知らずのうちにニコチンから逃れるのが困難(やめたくてもやめられない)となってしまいます。