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質問の「患者さんあるいはご家族はどのように感謝されましたか」については、「しばらく笑ったことのなかった患者さんが童心に返って大笑いされた。家族の方はその笑っている情景に感動をおぼえた」と。

「あなたはそのことによってどんな気持ちになられましたか」については、「健康なときには何でもないような節分というようなことも、たいへんな喜びを与えると同時に、そのことが家族の方に安心感と、ピースハウスに入院してよかったと思っていただけるひとつの機会になったことを感じた。その笑顔を見て喜ばれる家族の方々のご様子から、ボランティア活動をして少しでもお役に立てたことがうれしかった」

話は変わりますが、私はピースハウスのほかに、清瀬市にある信愛病院の20床のホスピス棟にも週に1回行っています。そこでは私は診察をする医者としてというよりは、相談にのるという程度の関わり方をしているのです。先週行ったとき、ある患者さんに「どうですか」と声をかけたところ、「ここへ来てよかったです」と言われました。それはホスピス棟というのは普通の病院に比べれば静かですし、療養環境はいいのです。郊外にある病院ですから、緑は豊かです。しかし窓の外のすぐ隣にマンションが見える病室もあるのです。ところがそのマンションのベランダに干し物が干してあった。その患者さんはベランダの干し物が見られてとてもうれしいと私に言うのです。私自身はそんな気持ちは味わったことはありません。ささいなことといっては何ですが、普通では感じないようなことがホスピスの患者さんやご家族には大きく心に響くことがあるのです。

 

 

 

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