それは今の精神分析療法とか箱庭療法と同じような治療メカニズムをシャーマンは行っているのだそうです。シャーマンのやっていることをよく分析してみると、今の精神療法の基本につながるものをもっているから成功している、癒しに結びついているのではないかということを語っておられました。そして、ある時期になるとその人の意識を煽立て、あるいは一緒になって太鼓をたたく、あるいは一緒になってその土地の昔からのメロディーを口ずさむ、自分を忘れて、今の悩みを振り切るように一緒に踊ったりして、目覚めた自己というか、自己の治癒機能を生き生きとさせていくようだと述べていました。
それともう一つ忘れてならないのは、シャーマンというのは、その病人または相談者に対して、非常に優しく親切だというのです。その優しさが相談者を取り込むという。だから、相談者はその優しいシャーマンに会って今までになかったように自分の本心を次々と打ち明けながら介護されていくというのです。
大体、そういう所へ相談に行く人というのは、たとえば家では相談する人がいなかったり、嫁姑でどうにもならない状況になっていたり、あるいは息子に背かれて苦悩の中にあったりしているのに、話し相手がいない。知人に相談したらもっと状況が悪くなったというような、だから自分の中に隠して悶々としていたり、だんだん衰弱してきたりした人が、こういうところへたどり着いてくる。そういうことを忘れさせるような包容のされ方、優しさに出会う。だから、現代の医療、とくに西洋医学にのっとった診断や治療の行き方、治療とは違う方向があるということが重要であるというのです。