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シャーマンというのは、超能力者といえばぴったりするのかもしれませんが、神がかりになったり、生霊といいますか、死霊といいますか、そういうものと交流できる能力をもつようになった人のことで、それを伝えながら治療儀礼を行って、災害とか煩(わずら)い、あるいは病気で訪ねてきた相談者に接して、答えてあげるという治癒体系のようです。宗教現象というか、これがシャーマニズムといわれるものだそうです。

いずれにしても、今でもシャーマンを中心とした癒しの現象が行われているようです。それは世界的にもあるのですが、東アジア一帯が非常に多いのだそうです。その地方の基底になっている文化にそれが乗っていて、その地域の文化を生かしていきながらシャーマンの仕事はなされているそうです。

結論的には、人類のもっとも古いころからのhealingということでこのシャーマンの存在が再評価されているという紹介でした。特に演者が強調していたことは、その地域固有の世界観とか、あるいは因果的なものの見方を地域のコスモロジィー(cosmology)を十分にわきまえながらシャーマンはやっていて、シャーマンになるような人はそれをよく追求しているそうです。また、シャーマンになるような人は、大体シャーマンになる前に苦労しているというのです。かなり苦労して頭がおかしくなった後に、あるいは生きるか死ぬか自殺寸前の思いをしていて、その経験の中から今の自分の能力を出すようになってきているそうです。そういう苦労は、その地域の中のあるいはその因果関係の中での苦労なので、目の前にきている病人、あるいは災いに遭った人を見たときに、「こういうことなのではないか」「こういうことがあるのではないか」「こういう思いなのではないか」ということを次々と顔を見ながら、相手の言うことを聞きながら引き出していくというのです。

 

 

 

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