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これではバウンドリーの基礎が築かれるはずはありません。したがって、夫となり、また父親となって、妻や子どもたちと情緒的・精神的に関わろうとすると、不安感情が呼び起こされてしまうのです。つまり、深い親密な関わりに恐れを感じてしまうのです。ですから、仕事にのめり込み、家族との関係を避けていたのです。この男性の場合も、バウンドリーの問題を解決しなければ妻や長女の問題は解決することができなかったでしょう。

このように、表に出た問題行動はあくまで症状ですので、自分の努力や回りの人々からの注意やアドバイスでも改善しない場合には、バウンドリーの視点からアプローチすると、自立するプロセスで問題解決の糸口が見えることがあります。

 

3) 問題の所有権は自分にある

バウンドリーの形成は、親や身近な人々との関係でなされますので、バウンドリー問題を追跡していくと、どうしても育った家族の問題が表面化することがあります。このとき、親を責めることで解決できるとは考えないでいただきたいと思います。過去に遡るのは、あくまで問題の真相に迫り、どのように解決するかの情報を得るためです。もちろん、ある場合は親と対面する必要もありますが、それはあくまで治療の目的のためで、犯人探しのためではありません。

たとえば、肥満になった原因のひとつが、母親の作った料理かもしれませんが、肥満になっているのは自分ですから、問題は自らにあるわけです。親を責めても肥満の解消には何の助けにもなりません。逆に、ストレスが増し、かえって食べるようになるかもしれません。肥満の真の解決は、正しいダイエットをすること以外に方法はありません。つまり、原因の一部は親かもしれませんが、問題そのものは自分自身にあることを自覚するまでは、有効な手を打つことは絶対にできません。

 

 

 

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