夫も家に帰るのが億劫にさえなることもあるほどでした。
この主婦は、夫からの働きかけでカウンセリングを受けるようになったのですが、セッションが進むにつれて、彼女の共存的な性質が明らかになりました。静かにさせようとしていた子どもの活発さは年齢を考慮するなら問題行動ではなく、むしろ、子どもは脅えるような面があり、もっと活動的でよいはずです。しかし、彼女は自分の思うように子どもがコントロールされないと落ち着かず、いらいらしてしまうのです。つまり彼女の精神状態は、子どもの行動や態度等にコントロールされていたのです。このことが子どもを必要以上にコントロールするようになり、ひいては子どもを父親から精神的に引き離し、夫婦間の親密さにもひびを入らせるようになっていたのです。
この主婦は、結婚当初から情緒的に不安定であったことを夫は話してくれましたが、当初、そのことを指摘すると、逆に夫が問題だと責められたそうです。もし、この主婦がその段階で来談していたら、子育てのストレスも、また夫婦間の問題も最小限ですんだことは間違いありませんが、問題が大きくならないと認めることが難しいのです。たとえば孤立感、うつ気味、不安や心配、あるいは怒り、憎しみ等が自分の努力でコントロールできない場合は、やはり専門的な援助が必要な問題といえるでしょう。また、ギャンブル、不倫、虐待、アルコールなどの依存症的な問題は、確実に援助を受ける必要のある問題です。さらに、摂食障害の拒食や過食の問題も自分の努力では解決できない心の問題でもあるのです。たとえ小さく思える問題でも自己判断をしてはいけません。このような問題は、真の意味での自立の最大の障害となっているのです。
2) 問題の根はバウンドリーの欠如である
自分の問題を特定したら、バウンドリー問題と関連づけることです。