自分の感情や行動に責任をもつとき、相手にも自分がいましている行動に責任をもたせる結果になります。不倫をしている夫は、遊びの場合が多く、自らの行動の責任をとらされる状況に置かれると不安になり、自らの行動に終止符を打つようになるのです。「責任原則」を実践していないと、相手にも責任の自覚をもたせるようにはならないため、逆に無責任な行動を継続させさえするのです。
もちろん、不倫だけではなく、子どものしつけ、対人関係、介護の問題などもこの原則を土台としていくと、複雑な問題も案外容易に解決することが少なくありません。
3) 私たちは他人を変えることはできないが、自分自身を変えることはできる
最後の原則は、「他人を変えることはできないが、自分自身は変えることができる」という原則です。これは「力の原則」ともいいますが、私たちはもっていない力を使っても無力感を味わうだけですから、力のあるところで用いるべきだということです。つまり、私たちには他人を変える力はないけれども、自分を変える力はあるのです。しかし、一般に人々は逆のことをしてフラストレーションを起こしているのです。何とかして相手を変えようと必死なのです。しかし、あまり成功しませんので無力感を味わったり、また人間不信に陥ったりするのです。それはバウンドリーがないことのしるしであり、またそのようなことをくり返していけばバウンドリーは築かれません。
この原則はいろいろな状況で実践することができます。
a. いじめへの実践
たとえば、いじめは学校や職場で子どもにも大人の世界でも起こっている社会問題ですが、この力の原則を適応できます。いじめには複雑な要因が絡んでいますが、この原則にのっとって対応するとするなら、相手のいじめをやめさせようとするのではなく、自分の態度を変えることです。