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反発する方が多いのですが、「責任の原則」がわかってくると心理的には相当冷静になります。そのころになると、とり乱していたときのことを思い出して、一体どちらが悪かったのかわからないような状態で対応していたようだと振り返る妻たちが多くいます。つまり、とり乱すことは夫たちに責める理由を与えてしまいますので、自分のしていることの重大さに気づかないのです。妻が自分の精神状態に責任をもって冷静になればなるほど、夫は自分の行動(不倫)の責任を感じるようになるでしょう。もし不倫を心から恥じてやめようとする意思が少しでもあるのなら、「責任の原則」を実践したほうが、夫は不倫をやめる確率は高くなります。

冷静になれば、次のステップとして、不倫をしている夫に「夫婦はあくまでも一対一の関係なので、もしあなたが相手の女性といまの関係を続けるなら、私たちはもはや夫婦ではいられません。あなたに1ヶ月の猶予を与えますから、私を選ぶか相手を選ぶか決めて下さい」と言えるでしょう。このとき「責任の原則」を実践している場合はその延長戦でこのような対応が可能ですが、そうでない方は「もし相手の女性を選んだらどうしよう」と不安になって躊躇してしまいます。

私はそのときすかさず、「もしいまのような対応をしているなら、現状に甘んじなければなりません。それを覚悟するならそのままでどうぞ」と言います。

もちろん、夫は相手の女性を選ぶ場合もあるでしょう。リスクはどんな行動にもつきものです。しかし、冷静に毅然とした態度をとること、つまり人間として成熟していくことなしには生き甲斐ももつことはできません。多くのケースを扱ってきた経験からいえることは、このような対応をするようになるなら、時間はかかるかもしれませんが、夫の不倫に終止符を打たせるようになるでしよう。

 

 

 

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