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そしていやみではなく「行ってらっしゃい」と心から見送ってあげます。これがコツです。このような対応はバウンドリーがないとできません。さらに、育てのしつけにも適用できます。

 

c. 子供のしつけへの実践

アメリカでは登校するのにスクールバスが来ます。それを逃がすと、親が車で送って行きます。そうすると、子どもはスクールバスで行くよりは、お母さんに車で送っていってもらったほうが楽ですから、親が子どもを「遅れるよ!」「今度遅れたら、もう送って行かないよ!」と言っても、結局は子どもは遅く起きます。それで子どもが泣いたりすると、親はまた送っていってあげるわけです。つまり、「原因・結果の原則」が適用されませんから、そのような行動が続きます。

このような相談を受けますと、私は「車で送るのをやめなさい」とアドバイスします。しかし、必ず前もって子どもに「もし遅れたら、明日は送っては行きませんよ」と伝えるように言います。それこそ、“やさしい心で言いなさい”と。次の日もその子が遅れたとします。母親から言われても起きません。しばらくして遅れて起きてきました。あわて始めましたが、今回は、お母さんは「ほら、見なさい」とは絶対に言いません。また、泣いてお母さんに頼んでも冷静に「これからは連れて行かないと言ったでしょう」と言い、それを決して曲げないことです。それで子どもは走って行きましたが遅れてしまいました。次の日からは遅れることがなくなるでしょう。まさに「原因・結果の原則」の体験をさせたわけです。「明日からは送って行きません」という警告を親がしたにもかかわらず、それを実行しなかったとしたら、子どもが遅れたらどうなるかということを心配するからです。つまり共依存的なのです。そのような心配は子どもがすべきものであって、親の責任ではないのです。

 

 

 

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