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つまり、相手の責任を自分がとって代わってやってしまうと、相手には原因があっても結果が及ばないわけですから、自分の行動に責任がとれるようにはなりません。その結果、間違った行動をしてもその行動に責任をもちませんから、変えようとはしません。

共依存というのはアルコール依存症の現場から生まれたものですが、日本人は全体的に共依存的だとい思います。自立するようにではなく、依存するように育てられる傾向があります。その結果、このバウンドリーが形成されにくいのです。本当は関わりたくないのに、仕方なしに関わっているということが多いのではないでしようか。これはまさにバウンドリーがない状態です。別の人は、そういう関わりがいやだから、必要以上に距離をとり、人と関わりません。壁のようなバウンドリーを築いているわけです。このようにバウンドリーのない状態は、非常に弱いバウンドリーか、逆に壁のようなバウンドリーかのどちらかがです。どちらも正しい意味でのバウンドリーが確立している状態ではありません。

 

a. ギャンブルする人への実践

共依存的な人間関係は日本人社会の特質です。そういう中で、「原因・結果の原則」に関する例をあげてみよう。ギャンブルについてです。夫がギャンブルをしています。ギャンブルをする場合には大体内緒でします。相当の借金を抱えたときに、初めて妻に知れるわけです。いま、日本もクレジットカードの使いすぎによる多重債務等が社会問題になっているとマスコミで報じられたりしています。自己破産をしてしまう人たちも非常にふえているようです。1枚のカードで限界まで借りて、返すのが大変になると、次のカードを申し込んでそれで借りて返す。これが繰り返されていくのです。

 

 

 

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