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「子どもが栄養失調になったらどうしよう」と考える人がいるかもしれません。一食くらい食べなくても栄養失調にはなりません。このような状態はまさに子どもとの共依存関係といえます。何か理由をつけて「ノー」を取り下げてしまうのです。このような対応を継続していくと、バウンドリーを形成させるより、破壊さえしてしまうのです。そのときには絶対あげないことです。また、決して「ホラ、さっき言ったでしょ」とも言わないことです。子どもに対しては「ノー」とやさしく、かつ確信をもって言うだけでよいのです。そうすると、次の食事のときは、もうどんな食べ物でも食べますから心配しないで下さい。もし本当に食べたくなかったら、子どもはそれでも「ノー」と言うと思います。「食べたくない」と言うのはいいのです。子どもだって食べたくないことはあります。子どもが、親から情緒的に拒絶されないという思いで「ノー」が言えて、そして「ノー」を受け入れられるなら、確実に子どもにとって必要なバウンドリーが形成されます。

親の過去の体験:

誰かに何かお願いをしたとき「ノー」と言われたとします。自分自身が否定されたような思いをもつ大人が結構多いのではないでしょうか。これは、この時期にそのように育ったからです。いうことを聞かないと、その人格全体が否定されるという体験をしてきているからです。親は自分を失わないで情緒的に結合することができなかったのです。そのような大人がバウンドリーを確立できるようにするためには、先ほどの親子関係のバウンドリー形成が参考になります。たとえば「ノー」と言いたいとき、自分で「ノー」と言うまでには大分葛藤があるのではないでしょうか。ですから、早い段階で自分の率直な気持ちを相手に伝えることが大切なのです。早ければ早いほどいいのです。ずっと我慢をしていると、「ノー」と言うときには相当感情的になり、顔つきも変わってしまっています。

 

 

 

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