つまり、人は精神的な存在でもありますから、身体が病むのと同じように精神的にも病むのです。でも、身体が病んだ場合には、恥ずかしいから医師にはかかりたくないとはあまり思いません。風邪をひいて、恥ずかしいと思う人はあまりいないでしょう。「わたし、風邪ひいているのよ」と言ったら、みんなうつるのが嫌で逃げていくかもしれませんが、身体の病気の場合にはあまり隠すことはありません。
しかし、人間関係とか、あるいは精神的なことで悩んだりすると、「自分たちだけで・・・」、「自分だけで」、「家族だけで」と考えてしまいます。でも、盲腸だというのに、「家族だけで解決します」といって布団を敷いて寝かせて、沸騰したお湯で庖丁を殺菌して手術する、ということはないでしょう。それと同じように、心の問題、精神的な問題も、盲腸のような、あるいはがんのような病気がたくさんあるということです。ですから、よりよい精神的なケアというか、専門家の存在をもっと受け入れて、回避者的になってはならないのだということです。精神的に少し調子がよくないときには、積極的に専門家にかかればよいのです。決してそれは恥ずかしいことではなく、むしろ人間として精神的に正常な人ほど、そういうことを問題として理解して、必要なら専門家にかかるでしょう。
c. 自分の傾向を知りトレーニングをする
人はそれぞれに何らかのバウンドリー問題があるのですが、私たちの傾向としてどれかひとつ弱い点があるといえるようです。同意者的、あるいは支配者的、非応答者的、回避者的ということです。また人によって、状況によっても、問題は少し違ってきます。自分は職場では同意的であるが、家庭では支配的だというのがあります。その場合には、バウンドリーという面では少し調整するといいのです。同意的な場所で少し「ノー」と言えるようにする。