日本財団 図書館


家の中にごみが落ちているからというので入っていったら、それこそ家宅侵入罪で犯罪になってしまうかもしれません。つまり、バウンドリーというのは、この領域が自分の責任で、ここから外側は私の責任ではないということです。これをしっかりとわきまえることがバウンドリーの目的です。

 

3) バウンドリーと対人関係

あらゆる対人関係に働いているのが精神的・心理的なバウンドリーなのです。そしてどのようなバウンドリーをもっているかで、その人の対人関係が大きく左右されるのです。私たちの目には見えないのですが、一体自分の責任はどこまでなのか、どこからは自分の責任ではないのかという心のバウンドリーがあるのです。人はよその家のごみを拾いに行くことはないかもしれませんが、もし誰かが拾いに行ったり、あるいは自分の家に隣家の人がごみを拾いに来ることがあるとしたら、おそらく抗議するでしょう。「どうして私の家に入って来るんですか」と言われて、「いや、ごみを拾っているんです」と言ったら、「よけいなお世話です」と言われるでしょう。確かによけいなお世話です。「いや、やってくれたらうれしい」と言う人もいるかもしれませんが、おそらく初めはいいかもしれませんが、毎回ごみが落ちたらさっと拾いに来るとしたら、たまったものではないかもしれません。ごみも落とせなくなるでしょう。よけいなお世話ということになってしまいます。

でも、それと似たようなことが、私たちは人間関係の中で、あるいは心の中で起こっているのだということです。気づかずによけいなお世話をしたり、また、相手の心を傷つけることさえしていることがあるのです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION