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表6 血液異常例と再検査所見

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これは、成長期に伴う鉄需要の増大に加えて、内分泌環境の変化等の内的要因と経済的因子としての食餌からの鉄摂取不足による外的要因が絡んでいるためと考えられた。これ以外の貧血(50例)は今回の検査項目からは詳細な診断を行うことはできず、追跡調査が行われなければならない症例である。この中には赤血球形態から球状赤血球症等が存在することが確認された。

b) 白血球系の異常

白血球増多症は4,326例に認められ、検査総数の3.6%に相当した。この多くは好酸球増多や血小板増多を伴っており、呼吸器症状や下痢のような消化器症状等の理学的所見を考えると、小児期に多い感染症による反応性の症例がほとんどである。

好酸球増多は最も頻度が高く、各センター間では12.2%から18.9%の割合で認められた。ブリヤンスクが最も高く、ゴメリが最も低い。この原因については間接的に以下のことが推測された。問診表から家畜所有の有無と相関が認められる点、検査対象者が農村部に近いブリヤンスク、ジトミール州で頻度が高い点等より寄生虫感染によるアレルギー反応の結果であろうと考えている(図17)。事実、駆虫剤で正常化することを各地区の医師が経験していることもこれを裏付けている。また、好酸球増多を再検することができた症例6,469例中2/3は好酸球数が正常化していることも一過性の現象であり、反応性の増加を支持するものであろう(表6)。

白血球増多症と血小板増多症の発現頻度は検査年次を経るごとにほぼ平行して減少していることは、経済状態や衛生状態の改善もさることながら、検査年次を経ることによって受診年齢が易感染年齢よりも上がってくることによる可能性も考えなくてはならない(図18)。

好酸球増多症の頻度も1991年の25%から1996年の11%に激減している(図19)。これには衛生状態の回復や検査地区が農村部から都市部へ移行しつつあることも関係している。いずれにしてもこれら反応性の血液異常症は減少傾向にあるようである。

一方、血球減少については白血球減少が609例認められ、約半数の339例が再検可能であった(表6)。このうち81例が白血球減少を持続していたが、いずれも他の血球減少は認められず、異型細胞の出現もなく、末梢血所見のみからは特定の疾患を同定することはできなかった。これら白血球減少の原因を明らかにするには注意深い経過観察と、今一度血液標本を見直し、場合によっては骨髄の造血状態を検索することが必要となってくるであろう。特に、白血球減少例が1996年で若干増加していることが、造血器疾患発症の前兆となるのかどうかは今後注意すべき点の一つである。

 

 

 

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