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1999年 国際保健協力フィールドワーク・フェローシップに指導専門家として同行して

 

金井 要(国立国際医療センター 国際医療協力局 計画課長)

国外研修でフィリピンに行った皆様お疲れさまでした。国内研修だけの人は来年も是非応募ください。(国外研修に行けるといいですね。)さて、今回国外研修の指導専門家として、また、何かトラブルがおきた時のために同行させてもらいました。フィリピンでの滞在中に考えたことや感じたことをいくつか述べたいと思います。

 

1、フィリピンに対する印象がだいぶ変わりました。10年半ぶりの来訪(前回は1988年8月、アキノ革命の直後)でした。町の治安も格段によくなっています。フィリピンは米軍が長年駐屯していたためか英語がよく通じる国で「アメリカ文化を一杯受け入れたアジアの中のラテン系の国」という感じです。また、日本との時間的距離が近いのもいいです。東京から4時間くらいは九州に新幹線で行くより楽。

 

2、参加者の皆様には、自分の感覚を大切にして自分の目で見たものを素直に感じてほしかったので、あまり口を出さないようにしていました。(年齢のあまり変わらない人もいましたし。)バックグランドの異なる皆様なので、同じものを見ても、考えること、感じることが違うはずです。(知識と感覚は分けておき、人の経験談や考えは、話し半分で充分です。)

 

3、国外研修の参加者が男7人、女7人と同数であり、ひょっとしてネルトンのようになるのかと想像(期待?)していましたが、皆様、至極まじめで、熱心に研修に励んでいました。少し残念ですが、高く評価できます。しかし、タイプの違う、初対面に近い人達が10日前後一緒に行動していたので、集団がどのように構成されていくのか、対人関係がどうなっていくのか興味深く見ていました。話しの合う人、気の合う人が食事の時など、さりげなく近くに座っていました。あと一週間もあれば、別のもっとおもしろい人間関係が見られたことと思います。自己主張も色々出てきて、また好き嫌いもはっきりしてきて。それは次回の楽しみとします。

 

4、何人か現地で体調を崩した人がいましたが、海外で病気になった時の不安感や心細さを感じたことと思います。体が暑さに慣れる間もなく、いろいろな予定が入っていたせいもありますが、疲れたら無理をせずに休むようにし、自分のペースを崩さない方が無難です。本当は20度前後の気温差に体を慣らすために、もう1週間ほしいところですが、期間の延長は無理でしょうね。

医療従事者(特に医者)は、集団に病気が発生した時に、最後まで自分の体調を崩すべきではないと、常々思っています。医者が最初に倒れたりすると、集団の受ける心理的ダメージは大きいです。

 

 

 

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