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フィリピンから教わったこと

 

山本 万希子(名古屋大学医学部4年)

今回、WHOや保健省などの行政機関、日本のJICA、現地のNGO、と実に様々な団体の方々にお話を伺うことができ、多くのことを考えたが、今振り返って最も強く自分が「感じた」ことは、「やりたいことをやる」ことの大切さだ。

それをまず感じたのは、スモーキーMtで活動するNGOを訪れた時だった。ここにはかつてマニラ中のゴミが集められ、白煙をあげるゴミの山の中で人々が生活していた。今はゴミは他の地区に移され、住民は仮設住宅で生活しているが、生活環境は決して良いわけではなく、国の政策に翻弄されているといった様子であった。そのなかで住民を組織して、政府への働きかけを続けているNGOの指導者の方にお話を伺った。彼女の話してくれた経緯はまさに困難きわまりないものだったが、彼女から発せられるエネルギーはそんなことはものともせず、「これから先なにがあろうとも、私は絶対に恐れないし、負けないわ。ここが私の居場所なのだから。」と言い切った姿は、まさに輝いているとしか言いようがなかった。彼女はもともとスモーキーMtの出身ではないが、彼女はここに自分のやりたいことを見出し、その情熱を伝え続け、自分自身を育て、ここになくてはならない人になったのだろう。

同じことをWHOの方々からも感じた。「自分のやりたいことをやるのが一番大切だ。本当にやりたいことなら、困難も乗り越えられるものだ。いろんな思いに惑わされて、本当にやりたいことじゃあないことをやっていると、いつか破綻する。本当にやりたいことは自分の心が知っているものだ。私は昔から大きく物事を考えるのが好きで、行政に入ったんだよ。」

そうおっしゃった先生からは、スモーキーMtで話をした女性と同じエネルギーと輝きを感じた。

農村で出会ったお母さん達からも同じエネルギーを感じた。村を良くしたい、その思いに素直に動き、その情熱をまわりに伝えていく。結局全ては人間のやることで、人間一人一人の情熱に全てが支えられているのだ。そして本当にやりたいことをやっている人がその情熱を絶やすことなく生み出すことが出来る。

国際保健と一口にいっても、その中で働く人々は様々で、そのなかで自分は「何ができるか」を考えるのも勿論大切だけれど、自分が本当は「何をしたいのか」を知ることがまず大切であると思った。そしてそれを自分なりに育て、まわりに伝えていく力にしていきたいと思う。今回考えた様々な問題点は今後も自分のテーマにしていきたいが、自分のやりたいことを常に自分に問い、それに素直でいる姿勢を見失いたくないと思った。

最後にこのような機会を与えてくれた関係者のみなさんに心から感謝申し上げます。また、参加メンバーのみんなといろいろな話が出来たことは本当に良い刺激になりました。本当にありがとうございました。

 

 

 

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