・近代化に伴う環境問題から生じる健康障害を扱う
・有害な環境の査定
Dr.Shigeru Omi : Regional Director
現在、WHO西太平洋地域事務局長は日本人の尾身茂先生である。その尾身先生とのお話は私たちとの質疑応答という形で行われた。予定の時間を延長してまで盛り上がった内容だったがその中でのいくつかをここに紹介する。
Q1: どのようにして現在の地位(西太平洋地域事務局長)に就くこととなったのか。
尾身先生:自治医科大学を卒業後6年間離島での医療に携わり、その後1978年B型肝炎ウイルスの分子生物学分野において医学博士号を自治医科大学で取得。1978年には東京都庁において医療行政官となり、1990年WHO西太平洋地域事務官となりワクチン計画拡大のための地域アドバイザーとなった。特にポリオ撲滅のための国家的ワクチン計画を組織した。この際、西太平洋地区の国々を精力的に廻り、2000年にはポリオ撲滅をするというWHOの目標達成を大きく前進させることとなった。ご本人曰く、"世界中からポリオを無くそうだなんて、意欲の湧いてくる仕事だ。僕は毎日寝るのも忘れてワクワクしながら働いた。"・・・1997年3月19日カンボジアにおいて野性株のポリオが数件報告されたのが最後の症例と成った。 (Dr.Omi's position report P6) そして、その後1999年Dr.Hanの後を引き継いで西太平洋地域の事務局長となった。
Q2: 学生時代はどのような学生生活を送られましたか。
尾身先生:学生時代は勉強よりも青春を謳歌していた。しかし、最後の年には国試に向けて、学校にも行かず勉強したよ。
Q3: どんな人材が国際機関であるWHOで求められていますか。
尾身先生:女性です。女性であることが重要です。国際機関では日本人女性職員が本当に少ない。是非女性職員を採用したい。
Free talkingのようにリラックスした雰囲気で、Dr.Omiはとてもきさくな方であると同時に、とても精力的かつ情熱的で、目標に向かって邁進する活動する医師である。東京都庁の医療行政官として官僚の世界も経験した方であるが、組織の枠の中で動くというより、むしろ自己の理想と情熱を傾けることの出来る仕事に突き動かされてエネルギッシュに活動する医師ではないだろうか。我々フェローも皆Dr.Omiに大きな影響を受けたに違いない。
内容が盛りだくさんの講義のあと、夕方からは私たちがホストとなって、お世話になったWHOの職員の方々やUPの学生を招いてのパーティーが開かれた。茶道の披露のほか、日本の歌を皆で歌ったりして楽しい一時は過ぎていった。
(文責:白石康子 山本万希子)