・WHOで主な国際保健衛生上の問題となる項目は、20年前には感染症が主であったが、現在では先進国の高齢化の問題が急速に進行していること、心血管系の疾患、糖尿病、癌、なども重要な項目となってきている。
・環境問題に対する事項についてもWHOも他の国際機関と同様に積極的に取り組んでいる。ダイオキシンについてはWHOはガイドラインを提示しているが、基準値(standard)は提示していない。WHOが示すのは指標となるガイドラインであり、基準や法的拘束のある指導は行えない。
Dr.L.Milan : Health Protection and Promotion
WHO-WPRを構成する国々は経済的にも社会的にも政治的にも文化的にも多様な国々であるが、現在どの国にも急激な産業化と近代化の波が押し寄せている。この波は、疾病構造においては、感染症中心から慢性疾患中心への移行を示し、人口構成においては、若年層優勢から中年、老年層優勢への移行を示している。現在、世界の65歳以上人口の1/3はこの地域に住む人々である。
こういった推移も踏まえつつ、WHO-WPROの「健康保護・増進部門」では次のような様々な活動を行っている。
機能:
1. 健康維持、増進のための支援
2. QOLに関わる健康問題に取り組む
3. 健康に関わる環境問題に取り組んでいる国々を支援する
活動内容
1. Reproductive health, family and community health and population issues
・家族状態を良好に保つ。(特に母親の健康と子供の成長・発育状態)
・あらゆる年齢の女性に関する健康問題に取り組む
・健康的に歳を重ねられるように、職業病や、慢性疾患、障害などQOLに関わる問題に取り組む。
2. Healthy behavior and mental health
・健康的な生活様式を身につけ、QOLを向上させる。特に精神面を良好に保つことに重点を置く。
・様々なリスクファクター(酒、タバコ、その他薬物乱用など)を止めさせ、地域社会での精神的リハビリを行う。
・WHOの活動を、あらゆる媒体を使って広報し、健康に関する情報を普及させることで人々を動かす。
3. Nutrition and food safety
・食品衛生や、栄養不足自体の問題に取り組む
・栄養問題が影響してくる感染症への対応
4. Control of noncommunicable diseases
・非感染症(癌、循環器疾患、糖尿病など)の予防、治療などを扱う
5. Environmental health
・安全な水供給や下水設備などの整備