仮設住宅に隣接する敷地内に、政府系NGOによる財団が運営している無料の人材育成センターがあった。この人材育成センターは財団がパーティーやオークションを開き都市部の裕福な人々から資金を集め設立したもので、若い人を中心に識字教育やミシン技術、理容技術などを身につけさせ、新しいアパートに住むための収入が得られるようにすることを目的とし運営されていた。若い人や子供のいる家庭ではこの人材育成センターで技術を身につけて、将来的に収入が見込めるが、身寄りのない老人世帯ではアパートの家賃を払うだけの収入が将来的に見込めない。このためSmoky Mountainの土地の分割を望んでいた。
また、アクバイアン2000という住民組織が政府が進めている焼却炉の建設反対を訴えて活動していた。政府が建設を予定している焼却炉はダイオキシンなどの有毒ガスの対策がされていないものである。このため焼却炉の建設を反対し、代替案として、熱帯のごみは水分を多く含んでいて燃やすのに多くの燃料が必要なため、埋め立てが合理的で、ごみを肥料にすることを提案している。このごみを肥料にする仕事を住民が行えれば、雑品回収による収入が減少して、他の職に就けない住民の救済にもなると訴えていた。
午後:ケソン市のSmoky Mountainの視察。
ここは現在使われているごみの集積所である。以前は畑であったが政府が土地を買い上げ、1998年よりごみの持ち込みが始まった。この集積所の周辺では約2万世帯が主にごみを回収して生活している。本来は98年12月で閉鎖の予定であったが、他の集積所の準備が整っていないので、99年10月まで一時的に閉鎖が延期になった。敷地内では1991年よりChildren Laboratory Foundationという財団が協力して古い建物を借りて識字学校を開設していた。この学校はnon formal schoolとして保健省から認可されていて、スタッフは教師5人と日本人留学生である。この学校では現在186人が勉強していて、財団から年間50ペソ×50人分だけの資金協力があり、年間50ペソの授業料を課しているが支払っているのは約80人である。以前ユニセフで働いていた日本人がここを訪れ共感し、その後、フィリピン大学の日本人留学生を連れて来て日本人学生との関係が始まった。