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【今後の援助に対する検討事項】

 

中央アフリカ共和国のパタセ大統領からはザフィオ医師およびギメ氏を通じて永年継続されている笹川記念保健協力財団の医療援助に対する感謝の意が表された。また元保健省の総務局長であり現在は保健大臣であるチモサ医師を始め保健省関係者も会談の折に1975年以来継続されている笹川記念保健協力財団の医療援助に対して感謝の意が表され、これまでに供与した器材が多くの病院で大いに役立っている旨報告された。特に政情不安といわれている一昨年以来も毎年続けて調査団が現地に赴いて検診を実施したことを中央アフリカ政府で高く評価され、また感謝された。本年度も日本からの電話連絡のみで依頼したにも拘らず保健省の車両の手配を始め日本に留学した経験のあるヤヤ医師が調査団滞在中は行動を共にするように配慮がなされ、また首都圏から出るときに必要な公用の通行許可証もヤシポ地方医務局長が我々の現地到着後直ちに準備してくれるなど、本プロジェクトが中央アフリカ共和国にとって如何に重要な位置を占めているかを再認識することが出来た。政情も隣国のコンゴ民主共和国(旧ザイール)では内戦があるものの、12月に届いたヤヤ医師からの連絡でも、中央アフリカ共和国の政情は安定しつつあり、今後の医療協力の遂行には問題がないものと思われる。同国の方針として医療保健対策が重要視されているので中央アフリカ共和国に対する援助の継続が好ましいと判断される。

なお保健省の地方衛生局の次長時代からわれわれの調査団のカウンターパートとして便宜を計って下さり、お力添えを下さった元保健大臣のリンバッサ医師が逝去されたことは非常に残念である。ご冥福をお祈りしたい。

中央アフリカ共和国の経済状態をみると、笹川記念保健協力財団が行っている寄生虫症対策プロジェクトを同国のみで遂行することはかなり困難であると言わざるを得ないが、現場で医療業務に携わっている医師、看護士、検査技師などがかなりその技術を身につけているので、近い将来に同国のみでの保健衛生対策が確立されることを期待したい。それまでは中央アフリカ共和国に対する援助の継続は必要であり、また好ましいと判断される。

また在バンギー日本大使館の川合大使、飯沢参事官、黒沢医務官を始め大使館員の方々も我々の調査団が中央アフリカ共和国で行っている仕事が現地で高く評価されていることを周知しておられ、中央アフリカ共和国に対する医療援助の継続を強く希望しておられた。今回の調査に関しても川合大使のご配慮で入国時には日本大使館の実久派遣員が空港に出迎えて入国手続きをすべて行ってくれ、また黒沢医務官もバンザ村の検診に同行された上に、ウワンゴ診療所にも来所して下さり、さらに出国前には自宅を使用させて下さるなど大使を始め大使館員の方々に多くのお力添えを戴いた。

中央アフリカ共和国の政情は殆ど安定しており、首都のバンギー始めブアール、バンザ村などこれまでの状態と変りはなく、中央アフリカ共和国政府としては特に保健省を中心に常に笹川記念保健協力財団に対する配慮がなされている。来年度は雨期の明ける前の8月頃に調査団の派遣を行えば、本年度と同様にブアールにも出かけることが出来、ケラ・セルジャン村の検診が可能であろうと思われる。

 

 

 

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