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一方バンザ村では採血した119名の中65名(54.6%)がマラリア陽性であり、その中熱帯熱マラリア陽性が40名(33.6%)、四日熱マラリア陽性が45名(37.8%)、卵形マラリア陽性が1名(0.8%)であった。これらの陽性者65名の中熱帯熱マラリア陽性のみが陽性であったのは20名(30.8%)、四日熱マラリア原虫のみが陽性であったのは25名(38.5%)、卵形マラリア原虫のみ陽性は居らず、複数種のマラリア原虫が陽性であったのは20名(30.8%)であった。この多種混合感染者20名は全検査数119名からみると16.8%となる。以上の成績を眺めてみるとマラリア原虫陽性者はケラ・セルジャン村で60.0%、バンザ村で54.6%と大差は認められなかった。また熱帯熱マラリアの陽性率はケラ・セルジャン村で49.4%、バンザ村で33.6%とケラ・セルジャン村の方がやや高率であった。これらのマラリア原虫陽性者の中バンザ村で昨年度受診し、既に陽性であった者に対しては現地でクロロキンを投与したが、ケラ・セルジャン村での陽性者および本年度初めて陽性を呈した者に対しては来年度にクロロキンを投与し、原虫数の多い症例に対してはメフロキンまたはアルテミシンを投与する予定である。

 

E) 全検査受診者の検査成績

健康手帳を配付しているケラ・セルジャン村とバンザ村で厚層塗抹法とMGL法による糞便検査と血液検査のすべてを受診したのはケラ・セルジャン村では181名、バンザ村で97名であり、その陽性者の検出寄生虫の種類を纏めたのが表7および表8である。

ケラ・セルジャン村では181名中162名(89.5%)で何らかの寄生虫に感染が認められ、陰性であったのは19名(10.5%)であった。1985年の成績では全検査受診者全員で何らかの寄生虫感染が認められており、1995年での陽性者は94.5%であったことから比較すると徐々にではあるが、寄生虫症患者が減少していることが判る。陽性者の内訳は1種類の寄生虫感染者が25名(13.8%)、2種類が33名(18.2%)、3種類が33名(18.2%)、4種類が33名(18.2%)、5種類が19名(10.5%)、6種類が8名(4.4%)、7種類が10名(5.5%)、8種類の感染者が1名(0.6%)であり、このケラ・セルジャン村での1人平均感染寄生虫の種類は3.00種類であった。これを過去に受診の経験がある健康手帳保有者と今回初めて受診した人達とに分けてみると、平均寄生虫感染種類は健康手帳保有者が3.12種類、初診者が2.60種類と初診者の方が少なかったが、陽性者は健康手帳保有者が138名中121名(87.7%)と初診者の43名中41名(95.3%)より低率であった。

今回初めて纏めたバンザ村では全受診者97名中何らかの寄生虫に感染が認められたのは91名(93.8%)で、寄生虫が全く検出されず陰性であったのは6名(6.2%)であった。陽性者の内訳は1種類の感染者が13名(13.4%)、2種類が17名(17.5%)、3種類が21名(21.6%)、4種類が15名(15.5%)、5種類が8名(8.2%)、6種類が13名(13.4%)、7種類の感染者が4名(4.1%)であり、バンザ村での1人平均感染寄生虫種類は3.26種類であった。これを健康手帳保有者と初診者に分けてみると、陽性者は健康手帳保有者が35名中31名(88.6%)と初診者の62名中60名(96.8%)より低率であり、1人平均感染種類数も健康手帳保有者で3.11種類と初診者の3.34種類よりも少なかった。

 

 

 

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