その内訳は赤痢アメーバ嚢子陽性がケラ・セルジャン村で31名(16.9%)、バンザ村で28名(28.9%)の計59名(21.1%)であり、大腸アメーバ嚢子陽性がケラ・セルジャン村で103名(56.3%)、バンザ村で57名(58.9%)の計160名(57.1%)、小形アメーバ嚢子陽性がケラ・セルジャン村で67名(36.6%)、バンザ村で36名(37.1%)の計103名(36.8%)、ヨードアメーバ嚢子陽性がケラ・セルジャン村で52名(28.4%)、バンザ村で32名(33.0%)の計84名(30.0%)であり、またランブル鞭毛虫嚢子陽性はケラ・セルジャン村で14名(7.7%)、バンザ村で4名(4.1%)の計18名(6.4%)であった。これらの消化管寄生原虫嚢子陽性者187名に対しては来年度にメトロニダゾールを投与する予定である。
C) 尿検査によるビルハルツ住血吸虫卵検査成績
ビルハルツ住血吸虫症検査のための尿検査は表4に示すごとくウワンゴ診療所においてのみ実施し、本年度は血尿を認める者および排尿痛などビルハルツ住血吸虫感染が疑われる者の77名について遠心沈澱法による尿検査を行った。その結果3名(3.9%)からビルハルツ住血吸虫卵が検出された。一昨年の集団検査受診希望者では尿の提出者252名中10名(4.0%)からビルハルツ住血吸虫の虫卵が証明されており、昨年度は16名中8名(50.0%)と高率に認められているが、昨年度は血尿を排出しており、ビルハルツ住血吸虫症が疑われる症例のみを対象にしたためであると判断される。従ってウワンゴ地区におけるビルハルツ住血吸虫症例は疫学的にみると3-5%程度の陽性率ではないかと推定される。このバンギー郊外のウワンゴ地区には現在でもフランス大使公邸があり、水道もひかれているが、現地住民の多くは生活用水としてウバンギ河の支流を使用しており、このウバンギ河の支流にはビルハルツ住血吸虫の中間宿主となるBulinus属の貝がみられるので、このウバンギ河の支流での水浴などにより感染するものと判断される。ビルハルツ住血吸虫症の患者に対してはプラジカンテルを投与したが、ウワンゴ地区は首都に近く数千人の住民が居住している上に、他地区からの転入者も多く、この地区における衛生教育を含めた予防対策はかなり困難で、今後もウワンゴ診療所の看護士や衛生士による努力が必要であると思われる。なおウワンゴ診療所には保健省の了解を得てプラジカンテルを供与し、常備するようにしている。
D) 血液検査成績
血液検査はブアール地区ケラ・セルジャン村の235名とバイキ地区バンザ村の119名の計354名について実施した。その成績は表5および表6に示すごとくである。
a) ミクロフィラリア検査成績
ミクロフィラリア検査成績は表5に示すごとく、ケラ・セルジャン村とバンザ村で採血した合計354名の中75名(21.2%)が糸状虫陽性であり、その中常在糸状虫陽性が58名(16.4%)、ロア糸状虫陽性が38名(10.7%)であった。