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II. 本年度の実施内容

 

1. 両国研究者の構成

 

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2. 実施内容

 

1999年4月21日から5月12日までの期間、松田肇、大竹英博の2名が派遣された。彼らは4月24日から4月26日までの期間 Kratie 省に滞在し、各地小学校を訪問して学童より採血をおこなうとともに、各地区で住民からの採血と腹部超音波検査を実施した。Kratieの50km下流のChambokと、その5km下流のBang Rayの2村落の小学校で、それぞれ80名および81名の児童から採血し、獨協医科大学における酵素抗体法検査により、それぞれ7.5%および4.9%の陽性率が得られた。続いて4月28日には、これまでの調査地点の中で最南端に位置するKompong Cham省のThamar Kolでの採血を実施し、検査の結果1.1%の陽性率が得られた。

さらに本年度の調査では、これまで未調査だったStung Treng省の8つの地点で血清疫学調査を実施し、それぞれKam Phoun:10.4% (48;検査例数、以下同じ)・Sdau:89.1%(46)・Veal Ksach:0%(35)・Hang Khosoun:7.2%(69)・Kaing Cham:45.8%(48)・Pchol:5.0%(40)・Koh Preah:4.4%(90)・Siem Bok:11.4%(44)の陽性率を得た。1997年度からの調査結果をまとめたところ、図1に示す様なメコン川におけるメコン住血吸虫症の分布地図が得られた。以上の血清疫学調査に加えて、今回の調査では大竹専門家が中心となって腹部超音波検査を Kratie省とStung Treng省の4地区において実施した。総被験者数139名のうちメコン住血吸虫の慢性感染による明らかな肝繊維化像が観察されたのは26名であった。そして明らかではないが何らかの肝超音波像の異常が観察された被験者を含めると93名もの住民に何らかの肝病変のある可能性が推察された。しかし、病変像として最も重症化している結果としてのネットワーク・パターンを示す腹部超音波像は全く観察できなかった。

 

 

 

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