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環境

 

1 進む地球の温暖化

図1

地球温暖化の最大の原因とされる二酸化炭素(C02)排出量は、発展途上国の工業化の進展等により年々増加している。しかし、排出量自体は先進工業国が群を抜いて多い。アメリカは世界の約4分の1に当たる547万トンを排出しているほか、日本は5%、ドイツは4%を排出している。1人当たりの排出量でみるとアラブ首長国連邦が30.9トンで1位であるが、アメリカは1人当たりでも排出量は多く、20.5トンで世界第3位となっている。ちなみに日本は9トンで19位である。

このため1992年のいわゆる地球サミットでは気候変動枠組条約が締結され、2000年までに温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、亜鉛化窒素等)を90年水準に安定化することが目標とされた。さらに、97年の京都会議では2000年以後の温室効果ガス削減の数値目標が設定され、地球全体の問題として取組んでいる。

 

(資料と注意事項)国連環境計画等『世界の資源1998-99』

大気汚染、海洋汚染、森林の伐採等環境に関する問題は1つの国のみで処理できることが限られているので、地球全体の状況を把握する必要があり、国連環境計画によるデータ集は貴重なものである。また、OECDも環境データの整備に取り組んでおり、『OECD環境白書』等の邦訳が入手できる。

 

2 地球上の森林資源の半分近くが失われてしまった

図2

二酸化炭素の排出量の増加による地球の温暖化に拍車をかけているのが森林資源の減少であるといわれている。95年時点で元々存在した森林資源の46.6%に当たる29億ヘクタールが失われたと推定されており、そのうち中国とロシアでそれぞれ3億7千万ヘクタールが失われ、合わせて4分の1を占める。アマゾンを抱えるブラジルやアフリカの森林も減少しており、問題視されている。アジアではインドやインドネシアにおける減少面積が大きい。特にインドネシアでは木材の輸出のために森林の伐採が進み、近年における減少率が目立って高い。日本における森林面積の減少は世界のなかでは小さい方であるが、1千4百万ヘクタールが失われたと推計されている。一方、多くの木材を輸入しているため森林資源の減少に間接的にも関与している。

なお、森林面積の広い上位10か国は表1に示すとおりである。日本の森林面積は約2千万ヘクタールである。

 

(資料)国連環境計画等『世界の資源1998-99』

 

3 世界の国々で増加するゴミ処理量

図3

大気汚染や水質汚染の問題はここ30〜40年の間に深刻な問題となり、対策も講じられることになったが、これらは人間の経済活動や生活行動から廃棄される物質が環境を破壊する一例であり、適切な処理の必要性を明らかにしている。廃棄物は産業廃棄物と一般廃棄物に分れ、有害性のあるものは特別管理廃棄物としてその処理に規制がある。また、産業廃棄物は事業者の責任において処理されるものとされている。残る一般廃棄物はいわゆるゴミであり、市町村等の自治体で収集され、処理される。このゴミ処理量は30年ほど前には1日1人約500gとされているが、今日では倍以上の1100gまで増加している。日本における年間ゴミ処理量はおよそ5千万トンであるが、アメリカの1億9千万トンに次ぐ量である。1人当たりの処理量ではアメリカが730?sで最大であるが、日本も410?sと高い水準にある。しかも、85年から92年にかけての増加率もスペイン、イタリアに次いで高い。

最近では廃棄物を再び資源として利用するために分別収集をほとんどの自治体で行っており、資源のリサイクル率を高めることに関心が高まっている。85年当時では紙のリサイクル率では日本は有数の国であったが、ヨーロッパ諸国における改善のスピードが高く、日本においても一層の工夫が必要である(表2)。

 

 

 

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