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3. 消費者物価上昇率

図4

消費者物価上昇率の各国比較をみると、日本の物価上昇率は諸外国と比べ最も低く、安定傾向を示している。OECD、EU諸国とも比較的落ち着いているが、日本はその中でも特に安定していることから、このことが内外価格差や購買力平価の改善にも寄与している。

中南米諸国、市場経済移行諸国はブラジルやロシアの数値に代表されるように、極めて高い上昇率を示していたが、徐々に落ち着きを取り戻しつつある状況にあるといえる。

 

(注1)内外価格差

内外価格差とは、同じ商品の日本での価格と円換算した海外での価格の比率である。1985年9月のプラザ合意以降の急速な円高の進行に伴って注目を集めるようになった。

 

内外価格差調査

経済企画庁が行っている内外価格差調査は、東京と欧米5都市及び香港、シンガポールの家計で約400品目の生計費について実施しているものである。

調査品目数及び調査地点が限られていることから、必ずしも十分なものとは言えないが、一つの目安を提供しているデータと言える。

(注2)購買力平価

購買力平価とは、1国の通貨と他国の通貨の交換比率の一種で、それぞれの通貨の購買力(買える財やサービスの量)が等しくなるように計算して求められる。

世界各国のGDPの比較には、しばしば為替レートが用いられているが、為替レートは貿易などの国際取引の影響を受けるものであり、必ずしも、経済全体にとっての通貨の購買力を表わしていない。購買力平価は、国内のみの消費やサービスや企業の設備投資も含む経済全体の物差しとして国連を中心に考えられたものである。(コラム)

 

コラム 購買力平価調査とビッグマック比較

購買力平価を求める調査は、現在OECDを中心に実施しているが、この調査には数千銘柄もの調査品目が価格調査の対象となっている。

価格調査の方法を説明する上で、明快な例としてビッグマック比較がある。これはイギリスのエコノミスト誌が毎年実施しているもので、世界共通銘柄のビッグマックの世界各国での価格を調査し、為替レート換算により比較したものである。購買力平価の考え方を知る上で一助となるので紹介する。

アメリカで1個2.43ドルするビッグマックが、中国で買うと1.2ドルで買えるということは、ビッグマックに関する中国の為替レートは実際の購買力に比べ51%過小評価されていることが言える。スイスの場合は逆に為替レートに見合った購買力がない、すなわち為替レートが購買力に比べ64%過大評価されていると言える。日本の購買力はビッグマック(99年)に関して、ほぼ為替レートに見合っているといえる。それでも96年のデータをみると日本の為替レートは過大評価されているデータが出されていた(ビッグマック購買力平価は1ドル122円に対し為替レートは107円)。

 

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※格差(C-2.43)/24.3×100

資料:The Economist 99.4.3により作成(99年の数値)

 

 

 

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