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3 経済発展を支える技術力

図3

経済発展の源泉は技術革新にあり、これまでの日本の経済成長も外国からの技術導入や企業自らの技術開発のおかげであった。今後も世界の繁栄と平和に科学技術の進歩が果たす役割は極めて大きい。特許出願件数が多い国は企業等の研究開発が活発であるといわれている。日本の特許出願件数(自国及び他国への出願の合計)は96年53万件でアメリカの125万件に次ぎ、ドイツの31万件を超えている。91年まで日本はアメリカを抜いていたが、92年以降アメリカは、活発な研究開発、知的財産権の重視から増加が著しい。

技術革新の指標のひとつである研究費(人文・社会科学を含む)をみると、近年アメリカと日本の増加が顕著で、その対GDP比は、アメリカは95年度から上昇を続け、日本も91年度から94年度まで低下したものの95年度から上昇し、97年度は3.12%で主要国の中で最高水準になっている。98年のアメリカは、2.59%、ドイツ、フランス、イギリスは低下傾向にあり、97年度それぞれ2.28%、2.26%、1.87%。

企業活動のグローバル化や知的財産権重視の傾向から、主要国において技術貿易は拡大基調にあるが、その中で日本は技術輸入の増加を上回って技術輸出が増加している。97年の輸出は、8,839億円(アメリカ40,748億円、ドイツ3,835億円、フランス2,472億円)、輸入は11,634億円(アメリカ11,387億円)。その結果、技術貿易収支は依然として輸入超過(2,795億円)であるが、その幅は年々縮小しており、輸出を輸入で割った収支率は、80年の0.27から1997年の0.76まで向上してきている(アメリカ3.58、ドイツ0.68、フランス0.83)。このような動向から、日本が技術立国の道を歩んでいるということができよう。

 

4 巨額の国・地方自治体の借金

図4左

日本の国、地方及び社会保障基金を合わせた「一般政府」の最終支出は、対GDP比率でみて、98年37.4%とアメリカの33.1%より高いが、ヨーロッパ諸国に比べると低い(スウェーデン63.6%、フランス52.1%、ドイツ47,8%、イギリス44.1%)。しかし、財政の収支差を対GDP比率でみると、90年前後のプラスから93年以降マイナスとなり急速に悪化、98年にはマイナス6.0%とOECD諸国の中で最大の赤字規模となっている。一方諸外国は財政健全化に取り組み、収支の改善が進んでいる。

図4右

このような財政悪化の状況を一般政府の債務残高のGDP比率についてみると、日本は98年の時点で97.3%で、OECD諸国の中でイタリア、ベルギー、ギリシャに次いで高く、国際的にみて財政の悪化が著しい。日本の悪化は、長期不況化で税収が伸びないのに対し、支出面で景気対策の必要があり、また少子高齢化の進展から社会保障関係費など財政需要圧力が強いことによる。その後、日本の債務残高はさらに大きくなり、99年には当初予算段階での年度末見通しを大きく上方修正し、その結果一般政府の債務残高は過去最高となり、GDPを上回ることが明らかとなった。

さらに、2000年度末には債務残高は、645兆円に膨らむ見通しで、同年度のGDP499兆円(名目、見通し)の130%にもなるとみられている(大蔵省発表より)。21世紀を迎えるとイタリアを抜き、主要国の中で最悪の財政事情となる。

日本の国と地方の財政規模はほぼ半々であるが、国の財政を見ると、70年から国債を発行し、発行額は92年度以降増加傾向にあり、99年度見通し(2次補正後)は38.6兆円(歳入に占める国債依存度は43.4%)に達している。国債発行残高は増加の一途で、99年度末335兆円(2000年度末見通し364兆円)、一人当たり264万円と見込まれている。国債増発の結果、国の一般会計(支出)の中で利払い費等国債費は22.8%を占め財政硬直化を招き、政策経費を圧迫している。地方財政も同様の状況(99年度末見通し債務残高179兆円)にある。

当面景気回復が、日本経済にとって最重要課題であり、2000年度の国の財政は更に悪化する状況にあるが、国・地方の債務は将来世代の負担であり、しかも今後の社会保障関係費などの増加圧力を考えると、国地方を通じて行財政改革を断行して支出削減を図るとともに、早期の景気回復による税収の安定確保により、1日も早く財政健全化を実現しなければならない。

 

 

 

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