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経済の相互依存

 

1 多くの食品や機械等が海外で生産されて日本に輸入されている

図1

1985年のプラザ合意以後円高が進み、わが国に海外で生産あるいは製造された物品が多く輸入されるようになった。従来は輸入額の40%以上が石油等の鉱物性燃料が占めていたが、最近では生産物の輸入が増加したことにより、20%ほどまでに下落した。生産物のなかでも、食品や機械等が大幅に増加していている。これは生産拠点を東南アジア等の海外に移して日本に輸入するようになったためである。したがって、輸入国も産油国が中心であったものから、韓国、台湾、さらにはタイ等の東南アジア各国からの輸入が増加し、輸入先の国も多様化しているのである。このことが日本を中心としたアジア地域における経済の相互依存関係を強める大きな要因となっている。

 

(資料と注意事項)大蔵省「外国貿易概況」

貿易に関しては通関統計を整理した「外国貿易概況」が基本となる資料である。貿易額が円表示されるているが、年次比較の場合には為替相場の影響や価格変動の影響が含まれる。特に、近年における原油等の輸入額の減少は円高と原油価格の軟調を反映したものであり、原油の輸入量が減っているわけではないことに注意が必要である。

 

2 世界で使用されるメイド・イン・ジャパン

図2

家庭で使用される代表的な耐久消費財である乗用車と家庭用冷蔵庫が世界のどのくらいの国で製造されているか、さらにはそのうち日本でどのくらい製造されているかを比較する。乗用車は世界で年間3300万台ほど製造されるが、そのうち4分の1近くを日本で製造している。アメリカも20%近くを製造しており、この2か国で世界の乗用車の44%が作られていることになる。乗用車を作っている国はおよそ30か国と推定されている。

図3

一方、家庭用冷蔵庫は60か国を超える国々で製造され、94年には6000万台が作られた。そのうちアメリカでは1100万台が製造され、次いで中国で770万台、イタリアで500万台である。日本は第4位で495万台を製造した。

なお、この数値には日本の企業がアメリカで生産したものについては生産国がアメリカとなっていることに注意が必要である。

 

(資料)国際連合「世界統計年鑑」(1995)

 

3 あなたの使用するボールペンはどこの国で作られたのか?

図4

国内で使用されるボールペンの需要は国内生産されるもので十分に供給されるが、実際には3分の2近くが海外で生産されたものを輸入している。同時にほぼ同数を輸出向けに生産している。輸入品の国別構成比を数量ベースでみると、アメリカ製が最も多く、26%を占め、次いで中国(香港)製が6.2%、台湾製が3.8%を占めている(国内生産分28.1%)。このような取引は単価、用途、好み等様々な理由によってなされるものであるが、グローバル化した社会における相互依存の経済を如実に表す例である。

参考として、国内使用の構成比を金額ベースでみてみると、国内生産分37%、アメリカ26.1%、中国(香港)4.2%となり、数量ベースによる値と比較すると日本のシェアが9%差ほど高くなり、中国(香港)のシェアが2%差低くなる。これは国産品の平均単価が一番高く、中国(香港)製のものが国産品の半値近いことによる。なお、国産品の金額は出荷額であるが、輸入品は一般に運賃・手数料込みの金額なので、輸入額は卸売額と比較すべきであるが、金額ベースの計算では出荷額を卸売額に換算することは行っていないことに注意して欲しい。

 

(資料)「平成10年雑貨統計年報」(通産省)

 

 

 

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