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経済のグローバル化

 

1 生産拠点がさまざまな国に散らばり、経済のグローバル化を促進している

図1

日本の企業が海外に生産のための工場や販売のための事務所など海外現地法人を多数設立するようになり、1998年では19,000法人が活動している。このうちおよそ半数に当たる9,700はアジア諸国にあり、5,400が製造業である。生産コストの削減等のために生産拠点が国内からアジア諸国へ移転している状況が如実に現れている。

アメリカと日本経済は密接な関係があり、3,700余りの法人を設立しており、そのうち1,300余が製造業、およそ1,000が卸売業であるが、そのほかサービス業、金融保険業等々さまざまな業種の現地法人が活動している。

なお、これまで累計で25,000法人が設立されているが、6,000法人が撤退、合併、休眠化しており海外における事業の難しさの一面を表している。

(資料と注意事項)「1999年海外進出企業総覧」(東洋経済新報社)

図の基礎データは民間による調査結果を利用したものであり、日本側出資比率が10%以上の子会社を対象としたものである。一方、類似の調査として「海外事業活動基本調査」(通産省)があるが、これは日本の企業の海外活動に関する政府統計であり、海外子会社として日本側の出資比率が10%以上のもの、海外孫会社として出資比率50%以上のものを対象としている。こちらの統計は売り上げの詳細項目、損益項目等を調査し、1万以上の現地法人が回答している。

 

2 日本で活動する外資系企業の増加がめざましい

図2

出資比率が20%以上の外資系企業の数が増加しており、この10年間で1,000社以上が進出し、総数で3,300社余になる。その半数近くがアメリカの企業で、以下ドイツ、イギリス、フランスと続く。アメリカとドイツ系の企業のおよそ3分の1は製造業である。最近5年ほどではソフトウェア業や情報サービス業への進出が著しい。アジアでは中国(香港を含む)が最も多く、120社を超えるが、そのほとんどは卸売業である。

 

(資料と注意事項)「99年版外資系企業総覧」(東洋経済新報社)

図の基礎データは外国企業の出資比率が20%以上の国内法人を対象とした民間調査であり、名簿作成が主な目的である。類似の統計に、外資系企業の動向に関する政府統計として「第31回外資系企業の動向」(通産省)がある。

 

3 活発化する地域間貿易

経済活動の拠点はアメリカを中心とする北米地域、ヨーロッパ連合(EU)、日本を中心とするアジア地域にあるが、お互いに生産拠点や販売拠点を設けているため、これらの地域間の取引も活発化し、経済のグローバル化に寄与している。

図3

特に増加の著しいのは日本とアジア諸国の取引である。85-89年平均では日本から640億ドルの輸出がなされたが、90-95年平均では1340億ドルまで増加した。

一方、輸入も490億ドルから870億ドルへ伸びている。

基礎データには96年における地域間貿易の数値が示されているが、日本・アメリカ・EU・アジア地域間貿易だけで全世界のおよそ3分の2を占める(輸出63%、輸入67%)。また、アメリカとEUはこれら以外の国との取引も多い。

 

(資料と注意事項)日本銀行「日本経済を中心とする国際比較統計」

輸出はF.0.B.価格、輸入はC.1.F価格である。また、アジア地域、EUについては域内貿易額を除いている。

 

 

 

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