アジア経済危機の震源地であったタイは、91年から95年まで8%台の成長を遂げたが、その後鈍化し、98年はマイナス9.4%と落ち込んだ。近隣のインドネシアは90年代7〜8%程度成長してきたが、97年4.7%となり、98年は13.7%のマイナス成長、マレーシアも90年代7〜9%の成長を続けたが、98年はマイナス6.7%となった。しかし、アジア経済危機は日本を含めた国際協力による支援もあって、99年には落ち着き、回復の軌道に乗りつつある。(参考)
大戦後、各国は、市場経済の自由主義経済圏と計画経済の共産主義圏の東西軸の中でそれぞれ経済の発展を期したが、計画経済はうまく行かず90年ごろまでに多くの国が市場経済に移行した。しかし移行は容易でなく、市場経済移行国は上記の期間対比によると、成長率は2.2%からマイナス3.2%へ低下しており、苦難の途が続いている。
図2(右)
90年代の一人当たりGDPの増加率をみると、発展途上国全体では先進国を上回って増加しているが、人口増加圧力も強いためにその水準は低く、アフリカ地域、市場経済移行国など生活水準改善の前途は厳しいものがある。
(注)
国内総生産(GDP):国内で生み出された所得+固定資本減耗+純間接税(間接税-補助金)
国民総生産(GNP):GDP+海外からの国民の雇用所得や投資収益の受け取り-海外への外国人の雇用所得や投資収益の支払い
国民所得(NI):国内で生み出された所得+海外からの国民の雇用所得や投資収益の受け取り-海外への外国人の雇用所得や投資収益の支払い
(使用した統計)
経済企画庁調査局「海外経済データ」平成11年12月号
IMF“World Economic Outlook”,1999
上記機関のホームページなど