(5) 調査成果
1]多摩川エコミュージアム
a. 事業名:
「多摩川エコミュージアム構想」
b. 事業主体:
多摩川エコミュージアム構想研究会、市民プロジェクトチーム、川崎市企画推進課。
c. 対象地域:
神奈川県川崎市域の多摩川とその流域。将来的には市域全体。
d. 事業の経緯:
1993年「人と環境が共生するまちづくり」を基本方針とする『川崎新時代2010プラン』策定を背景に、1994年度の『市制70周年事業』の「地球市民会議<水と緑の分科会>」において「市民・企業市民・専門家・行政のパートナーシップによる多摩川水系の自然環境と歴史・文化遺産の保全を進めよう」という提言を契機に、1996年度に多摩川とその流域の特性にふさわしい、水と緑をいかし、うるおいとやすらぎのある快適なまちづくりをめざした『多摩川エコミュージアム構想』を策定。この構想に基づき、市民が6つのプロジェクトチーム(広報、まちづくり支援、多摩川・環境学習、ふるさと遺産整備、多摩川植樹、平瀬川流域市民活動プロジェクトチーム)を組織し、9つのテーマによる活動を実施。さらに1999年にはエコミュージアム構想の運営拠点・情報発信センターとしての『二ヶ領せせらぎ館』が開館し、市民・行政のパートナーシップによる運営委員会が発足。
e. 事業内容:
多摩川エコミュージアムは、多摩川流域内の自然環境や歴史・文化・産業遺産を「ふるさと資産・遺産」として、現地において保存・育成・展示・活用・研究することをめざし、こうした点在するふるさと資産・遺産間を連絡する水と緑のネットワークによる「発見・散策のこみち」としてつなぎ、各遺産の見聞や水辺を楽しむ散策・自然観察路の役割をめざす。そして、こうした各遺産間をネットワークした活動や企画の実施、情報交換や伝達といったエコミュージアム全体を運営する本部的役割と機能を有する中核施設として「運営拠点施設・情報センター」で構成されている。そして運営のしくみとしては、市民・企業・行政のパートナーシップによる運営とする(図II-2-1)。
実際には運営拠点施設・情報センターとして「二ヶ領せせらぎ館」がその役割を果たしている。この館は本来、多摩川の可動堰の維持管理施設であるが、建設省は可動堰のPRおよび「いい川づくり」推進拠点としての活用を、また市民団体はネットワーク組織の活動拠点としての利用を、そして川崎市は「多摩川エコミュージアム構想」の拠点施設としての活用をそれぞれ考慮しており、そのような経緯のなかから「せせらぎ館」が誕生することになった。